しょうゆメーカーのフンドーダイ(熊本市)の「透明醤油」が売れている。見た目は透明ながら、味はしょうゆという商品。黒くないので、食材の色を引き立たせるという効果がある。フレンチやイタリアンなどのソースや下味に使うなど、これまでの和食以外の市場を狙った。2019年2月の発売以来、20年9月末までに累計で約40万本を出荷し、しょうゆの新たな需要を掘り起こすことができた。

フンドーダイが開発した「透明醤油」は、100ミリリットルで価格は500円(税別、以下同)
フンドーダイが開発した「透明醤油」は、100ミリリットルで価格は500円(税別、以下同)

 しょうゆの使い方といえば和食が中心だが、黒っぽいしょうゆの色を透明にすることで、洋食など今までにない使い方を提案できないか。こう考えて透明なしょうゆを開発したのが、2019年に創業150年を迎えた老舗企業のフンドーダイだ。

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 何らかのエキスを利用し、しょうゆ味のする透明な液体をつくったのではない。老舗企業としてのこだわりを持ち、大豆や小麦を原料にした本格的なしょうゆをつくったうえで透明にするという新しい手法を開発した。  

 商品名は「透明醤油」で、100ミリリットルで500円(税別)。1リットルで300円前後のしょうゆもある中で高額といえるが、メディアに掲載されるとすぐに人気商品となった。黒くないため、料理に使用しても素材の色を損なわずに、しょうゆが持っている塩味やうま味を出せるからだ。

 例えばカルパッチョにかけるソースを透明醤油で作れば、魚介類の新鮮さが引き立つだろう。チキン竜田を作るときの下味として使えば鶏肉がきれいな色に焼けそうだ。和食でも、まぐろ漬けに利用すれば赤身が美しく見えるようになり、卵かけご飯にかければ黄身の色が食欲をかきたてそうだ。一般家庭用がメインだが、プロ料理人も注目しており業務用も販売している。

 「透明醤油は、フンドーダイが手掛けていた独自のしょうゆ製法を応用したことで生まれた。他社が同様な透明のしょうゆをつくろうとしても、簡単には追随できないだろう」と、フンドーダイ商品開発室長の池田勝美氏は話す。

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