
コクヨが2019年10月に発売した新ブランド「KOKUYO ME(コクヨ ミー)」は、「CMF(COLOR:色、MATERIAL:素材、FINISH:加工)」の最新トレンドを取り入れ、「Tool(道具)」ではなく「Accessory(アクセサリー)」としての価値を追求。ターゲットはミレニアル世代、ゼニアル世代のアクティブワーカーだ。
「KOKUYO ME(コクヨ ミー)」はカテゴリー横断型の新ブランド。ノートやペン、テープのりなど16アイテム80品番を用意している(2020年10月現在)。商品価格は通常より若干高い。ボールペン(0.5mm)が230円(税別、以下同)、ノートブック(A5)が400円。だが、その分「CMF(COLOR:色、MATERIAL:素材、FINISH:加工)」の最新トレンドを取り入れ、デザイン性を追求した。
発売3カ月(19年10~12月)でシリーズ累計2.4億円(目標2億円)を達成したヒット商品となり、20年の夏までは店頭販売に絞って展開していた。店頭で実際に手にしてもらうことで、CMFへのこだわりや、文具同士の組み合わせ、服とのコーディネートの楽しさを体感してもらいたいと考えたからだ。高めの価格設定でも購入してもらえたのは、そのコンセプトが消費者に支持されたからだろう。
また、組み合わせやコーディネートの楽しさを伝えたことで、「ついで買い」を誘い、購買単価も高くなった。これまでの文具では「必要なものをその都度購入する」という人が多かったという。夏以降は他社EC(電子商取引)サイトやコクヨの公式オンラインショップでの販売も開始しており、より認知度が高まると考えられる。
【第2回】 コクヨ「スモーキーカラー」でミレニアル・ゼニアル世代を攻略
【第3回】 通販大手フェリシモの「推し色」戦略 オタ活から新ブランドが
【第4回】 プリンスホテルPB伸長の秘密は“浅葱色” 美意識高い女性が支持
【第5回】 チキンやカルパッチョにも使える透明しょうゆが40万本のヒット
※第5回までのパワポまとめ 「5分で分かる共感する色、売れる色」
「18年にコクヨのステーショナリー事業本部長が代わり、『CMFにこだわったものづくりをしよう』という方針ができた。それに伴い、一部の企画開発メンバーで開発の指標になるようなCMFのデザイン方針を立てることになった。そこで、メゾン・エ・オブジェやミラノサローネなどの海外展示会で調査した最新のトレンドを基に、KOKUYO MEの基となった6色を選定し、文具のプロトタイプを制作した。それが社内で好評だったため、そのまま商品化にチャレンジする流れになった」
コクヨのステーショナリー開発本部デザインセンターの府川大吾氏は、KOKUYO MEの開発の経緯をこう説明する。ターゲットをミレニアル世代、ゼニアル世代に設定したのも、流行の最先端の色を柔軟に受け入れてくれそうな層だったからだという。
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