コロナ禍で売れ筋カラーに変化あり 緑や黄色が売れるワケ(画像)

「色」を効果的に使うことは、プロダクトデザインからコミュニケーション、ブランディングなどあらゆる場面で重要だ。新型コロナ禍の中、消費者の色の嗜好にも変化がある。今求められるカラーデザインのヒントを探る特集の第1回は、テレワークで需要が増えたインテリア雑貨の動きを追った。

姿勢に配慮した座布団「ISUZABU(イスザブ)」は、新型コロナ禍以前はセルリアンブルーが一番人気だったが、今はマスタードやヒワグリーンが人気。価格は1万4300円(税込み、以下同)
姿勢に配慮した座布団「ISUZABU(イスザブ)」は、新型コロナ禍以前はセルリアンブルーが一番人気だったが、今はマスタードやヒワグリーンが人気。価格は1万4300円(税込み、以下同)

 クッション・ピローメーカーのジスクリエーション(名古屋市)は、「姿勢に関わる商品」「眠りに関わる商品」という2つの軸で商品開発を行っている。そんな同社が、新型コロナウイルス感染症流行前後で、売れ筋の色に変化を感じているという。

 クッションなどの事務用品ジャンルでは、コロナ禍以前は青系などの落ち着いた色が人気だった。しかし、今は緑や黄色の人気が増している。

 例えば、姿勢に配慮した椅子用の座布団「ISUZABU(イスザブ)」。コロナ禍で売れ行きが急増した商品だが(関連記事:新型コロナ禍で注目 在宅ワークのお役立ちグッズ)、以前は「セルリアンブルー」が一番人気の色だった。しかし、コロナ禍以降は「マスタード」や「ヒワグリーン」の人気が急進。今や、セルリアンブルーの約2倍も売れているという。

 デスクワーク用のサポートクッション「Jimu fab(ジムファブ)」シリーズも、以前は青を基調とした「Water Leaf」が一番人気で、黄色の「Ginkgo」はWater Leafの5分の1程度の売り上げだった。ところが、コロナ禍で人気が上昇し、現在はWater Leafと同程度の売り上げになった。

 黄色や緑は、「個性が強く、他の色と合わせにくい」といった理由で、従来はそれほど人気が高くなかった。メーカー側も、売り上げに期待するというよりも、カラーバリエーションの豊富さを示す「見せ筋」の商品として作ることも多かったという。それが様変わりした。

オフィスワーク用のサポートクッション「Jimu fab(ジムファブ)」シリーズでも、青を基調とした「Water Leaf」が一番人気だったが、コロナ禍で黄色の「Ginkgo」も人気上昇。黄色は普段なら「見せ筋」の色だった。写真の美姿勢サポートクッションの価格は3850円
オフィスワーク用のサポートクッション「Jimu fab(ジムファブ)」シリーズでも、青を基調とした「Water Leaf」が一番人気だったが、コロナ禍で黄色の「Ginkgo」も人気上昇。黄色は普段なら「見せ筋」の色だった。写真の美姿勢サポートクッションの価格は3850円

「柄物」も伸びる

 同様に、コロナ禍で人気が高まったものに「柄物」がある。ジムファブでは、イラストレーターとコラボし、水彩のイラストを生地にプリントした限定商品を2019年3月から販売していた。自然や動物をモチーフにした優しい雰囲気で、こうした商品には一定数のファンがいるという。発売後は緩やかに売れていたが、20年の4月ごろから一気に動きが出て、普段の月の5倍以上も売れるようになった。

イラストレーターとコラボしたジムファブでは、かわいらしい雰囲気の水彩イラストが人気。20年の4月ごろからは以前の5倍以上売れるようになった
イラストレーターとコラボしたジムファブでは、かわいらしい雰囲気の水彩イラストが人気。20年の4月ごろからは以前の5倍以上売れるようになった

 ジスクリエーションのライフスタイルデザイン部、安達瑞希氏は、こうした色や柄が好まれるようになった理由は、大きく2つあると推測する。

 「1つは、新型コロナの流行で『明るい色』に引かれる人が増えたこと。『家の中に楽しみが欲しい』と考え、明るい色や柄の商品を購入するようになった。もう1つは、リモートワークをきっかけに、自分の本当に好きな色・柄の商品を買おうと考える人が増えたこと。会社で使用する際は『会社の雰囲気を壊さないように』などの理由で、オフィスチェアになじむ無難な色のクッションを購入する人が多かった」(安達氏)

 また、事務用クッションには1800円前後の商品が多いが、ジムファブは3850円とやや高めの価格設定にしている。その分、品質やデザインに力を入れていたが、「会社で使用するクッションに、この値段は高すぎる」と考え、無地で安価なクッションを選ぶ人も多かったようだ。しかし、テレワーク拡大に伴い自宅用のクッションを選ぶに当たって、多少高くても性能が良く、かわいらしい商品が欲しいと考える人が増えてきたと考えている。

 「日経デザイン」が11年に調査したところ、11年3月の東日本大震災の後も、人々の好みが緑や黄色、ピンクに移ったことが分かっている。そのときと同様の感性の変化が、コロナ禍の中で生まれているとも考えられる。緑には親しみやすさや安心感を見る人に感じさせる効果があり、黄色は明るさや活力、希望を、ピンクは恐らく、人々が絆を求めるときに好まれる色だろう。

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