※日経トレンディ2020年11月号の記事を再構成
2020年の食品業界は、かつて経験したことが無い“未曽有の事態”に直面した。原因は言うまでもなく、新型コロナウイルスの感染拡大だ。外出自粛や飲食店の休業要請、全国対象の緊急事態宣言などを経て、消費者の生活様式が一変。外食を控え、代わりに中食(弁当、総菜、冷凍食品など)、内食(素材を購入して家で調理したもの)を大幅に増やす動きが急速に広がった。
「中食・内食増」「外食減」の流れが鮮明に
食事についての消費者意識が大きく変わる中、とりわけ内食向けの加工食品メーカーにとっては、急激な市場の環境変化と需要増にいかに対応するかに追われる数カ月となった。自粛生活に入った当初は小麦粉やバター、ホットケーキミックスが飛ぶように売れた。20年3月時点の総務省の調査によればパスタ(前年同期比44%増)、即席麺(同31%増)、冷凍調理食品(同22%増)と、外食の不調を尻目に保存食を中心に家計の出費が急増した。最近は、家族の食事を三度三度作らなければならない主婦など調理の担い手を中心に、簡便さを売りにする食品に人気が集まりつつある。
いずれにしろ、外食産業の攻勢を受けていた多くの食品メーカーは思わぬ好況に沸く。例えば日本ハムは、「ハムやソーセージ市場は実は毎年じりじり下がっていた。しかし20年の上半期は、蓋を開けてみれば2桁伸長が続く。この勢いは年末までは続くとみる」と明かす。
残念ながら新型コロナウイルスと向き合うことになる“巣ごもり生活”は当面続く。こうしたことから魅力的な新商品を開発する機運がメーカーの間で高まっている。
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