コナミデジタルエンタテインメント(以下、コナミ)は9月26日20時から東京ゲームショウ2020の公式番組として「エデンズゼロ ゲーム化&アニメ情報発表」を配信。原作者の真島ヒロ氏を招き、人気コミックのゲーム化とアニメ化のプロジェクト情報をじっくりと伝えた。

アニメよりも先にゲームの動画が公開に!?
原作の熱烈なファンだという日本テレビのアナウンサー、伊藤遼氏の司会進行で始まった「エデンズゼロ ゲーム化&アニメ情報発表」は、そのタイトルの通り、週刊少年マガジンで連載中の人気コミック『EDENS ZERO(エデンズゼロ)』を原作としたゲームとアニメの情報を発信するものだった。
伊藤氏のほか、コナミからはゲーム版『エデンズゼロ』のプロデューサーである村戸信氏と、宣伝担当の近藤利弘氏が、さらに本人も大のゲーム好きで知られる原作者、真島ヒロ先生が登場。
真島先生はプライベートで遊んでいるゲームの話などをTwitterでつぶやいているが、それについて伊藤氏から「いつ寝ているんですか?」と突っ込まれると、「仕事をしていない時間はゲームをやっていますね」と返答。それには伊藤氏もすかさず「寝てないんですか?」とツッコミを入れ、場を沸かせていた。
続いて好きなゲームのジャンルを問われた真島先生だが、「FPSとかアクションRPGが大好きなんですけど、最近はねぇ、『パワプロ』もやってます」と、受け答えにもソツはない。そんな和やかな雰囲気ではじまったが、すぐに話題は『エデンズゼロ』のゲームへと移っていった。ゲーム化を告知するムービーが紹介されたのだ。
ムービーではシキやレベッカをはじめとする『エデンズゼロ』のキャラクターたちが3Dグラフィックで表現され、さまざまなアクションを見せた。そして、その最後には「2大ゲーム化プロジェクト始動。」の見出しとともに、「—家庭用— 3DアクションRPG」「—モバイル— 見下ろし型アクションRPG」と、2つの環境に向けたゲームがそれぞれ開発されることが示唆されたのである。
ムービー終了後に改めて伊藤氏が「アニメ化に続いてゲーム化も決定されました」と告げると、真島先生は「アニメで動いているより先に(ゲーム用の3DCGが)動いているのを観ちゃいましたね。なんか不思議な感じがしますけど」と返し、笑いを誘う。
家庭用、というのは機種名こそ明かされていないが家庭用ゲーム機で楽しめるものであり、モバイルはそのものずばり、モバイル端末で遊べるゲームタイトルだろう。本稿ではそのまま「家庭用」「モバイル」と呼び分けることにする。



広大なフィールドを飛び回れるコンソール用ゲーム
家庭用として開発中のゲーム画面も公開された。最初の1枚は、シキが惑星ブルーガーデンの上空を飛んでいるというもの。村戸氏らによれば、その家庭用ゲームでは「エデンズゼロ」の世界を再現した広大なフィールドを自由に飛び回ることができるものになるという。
画像を見て「広くないですか?」と反応した真島先生の言葉に「広く作りすぎちゃった」と返す村戸氏。街の外がどうなっているかを真島先生に相談しながらフィールドを作成しているのだそうだ。
次に公開されたのは、シキが壁を走っているシーン。重力のエーテルギアを使えるシキは空中はもちろん、壁や天井を走り回ることができるのだ。これは企画書の段階から決まっていたことだそうで、村戸氏には「自由に空を飛び、壁なども走り回れるものにしたい」との思いがあるとのこと。
また、村戸氏は本作ではエーテルギアを使った爽快なアクションを楽しめるゲームを目指しているとも語り、シキがエーテルギアの「魔械流重旋脚」を繰り出している場面も公開された。



「キャラクターごとにエーテルギアを用いた個性豊かな技があるので、それらをアクションやバトルにどう入れ込むか、空中を自由に移動できるのとバトルのつなぎの部分に力を入れています」(村戸氏)
さらに、ワイズやレベッカ、ホムラなど、シキ以外もプレイアブルキャラクターとして登場することも明かされた。その3Dモデリングのクォリティを見た真島ヒロ先生も「いいモデルになっていると思います」と満足げだった。
モバイル用はハック&スラッシュに
一方、モバイル用作品は家庭用とは違い、見下ろし型でハック&スラッシュ(ハクスラ、戦闘を中心に楽しむゲームのこと)のアクションRPGになるとのこと。伊藤氏はこの作品について「エーテルギアと装備によってハクスラの醍醐味であるキャラクター強化が楽しめる」と紹介した。
こちらのモバイル用も企画書段階から真島先生と話し合って作られているというが、実は真島先生はモバイル版のほうは開発中の画面をほとんど見たことがなかったとのこと。「これからどうなっていくのか楽しみ」と期待感をにじませた。
近年のモバイル端末は全体的に3D処理能力が著しく向上していることもあり、「モバイルもスペックが上がっているのでかなり表現豊かにできている」と村戸氏もそのできばえに自信を見せた。
また、このモバイル用は原作同様にたくさんの装備を用意し、装備の組み合わせを考えて攻撃力を高めていくような戦略性が楽しめるものになっているそうで、「RPGではキャラクターの成長要素が楽しい」と語る真島先生の期待にも沿った作品になりそうだ。
また、村戸氏には「(モバイル用でも)エデンズゼロらしい空での戦いを描きたい」との思いがあったそうで、本作ではフィールドには地上と空中の二層があり、空中から地上への攻撃などが出来るようになっていると語った。
もちろん本作にも複数のプレイアブルキャラクターが登場し、キャラクターをチェンジしながら複数のキャラクターで攻撃ができるものになるという。
真島先生考案のオリジナル衣装も公開に
こうしたゲームの紹介を受けた真島先生が取り出したのは、主要キャラクターたちを描いた直筆のイラストパネル。それぞれ原作では着ないようなものを描いたそうで、確かに原作のイメージとはひと味違うものばかりだった。
シキは少し禍々しさの感じられる「サタンドレス」姿、レベッカはカウガール、ワイズはマントを羽織ったギャングスタ風、ホムラはメイド服、黒い衣装ばかりを着ているウィッチは正反対のスノーホワイトの衣装、シスターは鞭を手にしたボンデージ風のポリス(警官)、さらにハーミットはフリルのついた人形のようなコスチュームと、その数は計7枚にも及ぶ。
一通り紹介し終えた真島先生の「(ぜひゲームに)実装してください!」の言葉に村戸氏も「はい、絶対実装します!」と即応した。
村戸氏によれば、『エデンズゼロ』のゲーム開発では原作に登場するたくさんの衣装を実装しているが、真島先生からはこれまでにもオリジナルの衣装についての提案があったそうだ。
ちなみに今回新たに描かれたオリジナル衣装のなかで、真島先生はワイズのものが一番気に入っているとのこと。ただ、マントの表現が3Dでは難しそうと危惧する真島先生に対し、戦闘時はマントを外すなどの処理で対応すると村戸氏が返答。すでにこれらのオリジナル衣装を実装するためのアイデアを練っているようだ。
最後にコメントを求められた村戸氏は、「世界中の真島先生ファンやゲームファンが納得できる作品にしたい」と抱負を語っていた。
アニメ版のスタッフも紹介
ゲームに続いて『エデンズゼロ』のアニメ版についての紹介もされた。まずは本作の総監督として「FAIRY TAIL』シリーズの監督を務めた石平信司氏が就任することが発表され、以降は石平氏がZoomで参加しつつ番組は進められた。
実は石平氏は前作「FAIRY TAIL」の連載が終わった直後に「次はどんな連載になるのか」と質問したことがあったそうだ。ところがいざ新連載が始まってみると「言ってたものとぜんぜん違う」と驚かされたという。
ちなみに石平氏以外のスタッフとして、監督は鈴木勇士氏、シリーズ構成に広田光毅氏、キャラクターデザインを迫由里香氏、制作にJ.C.STAFFが当たることも発表された。
「エデンズゼロ」の公式サイトも公開に
コナミとしては「コミックス、連載、アニメ、家庭用ゲーム、モバイルゲームのすべてが連動して『エデンズゼロ』を盛り上げていきたい」という意向であると近藤氏は語った。そしてその中心となる「エデンズゼロ プロジェクト 公式サイト」がこの番組の配信とともに公開になったとのこと。
公式サイトは原作に登場する動画サイト「B・キューブ」を模したデザインで、そのスライドを見た真島先生も「こんな感じなんでしょうね、きっと」と感想を述べた。
さらに公式サイトのオープンと連動するように、Twitterキャンペーンも開催される。これはオリジナルのエーテルギアやその能力を使うオリジナルのキャラクターをTwitterに投稿し、優秀作に選ばれれば作中にも登場するという、ファンには嬉しい内容だ。
近藤氏は恐る恐るといった風に「コナミとしては原作、もしくはアニメでぜひ登場させたいと勝手に思っていたりしたんですが……」と切り出すと、真島先生も「ネタ切れなんで助かります」と快諾。伊藤氏も「うれしいですよ、ファンは!」と興奮した様子だった。
公式サイトをハブとして、コミックス、連載という原作に加え、2つのゲーム、そしてアニメが連動し、オリジナルのアイデアを公募しながら相互に影響を与えあう。この「エデンズゼロ プロジェクト」の試みはなかなかにユニークなものと言えるだろう。はたしてどんなシナジーを生み出すのか、期待したい。
- 東京ゲームショウ2020特設サイト
- 東京ゲームショウ2020公式サイト
(クリックすると「東京ゲームショウ2020」のホームページを表示します)