2020年9月27日に配信された「東京ゲームショウ 2020 オンライン(TGS2020 ONLINE)」の主催者番組「Nintendo Switchでゲームを作って『ゲームクリエイターになろう!』」。長年ゲームクリエイターとして活躍する小林貴樹氏と動画クリエイターのうい氏が、実際にゲームを作りながら小学生向けにその仕事内容を解説した。
近年、「なりたい職業ランキング」にYouTubeなどの動画投稿者やプログラマーなどがランクインするようになっている。ゲームクリエイターもその1つで、今や多くの子どもたちが憧れる職業だ。
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会が20年4月21日に公開した、2019年度の小学生の「将来なりたい職業」ランキングでは、「ゲーム制作関連」が5位に入っている。ソニー生命が19年8月6日に発表した「中高生が思い描く将来についての意識調査2019」でも、男子中学生の将来なりたい職業の第3位がゲームクリエイターとなっている。
ゲーム制作は分業制
ゲームクリエイターと聞くと、プログラミングをしている人だと思いがちだが、実はさまざまな仕事や役割があると小林氏は言う。
ゲーム作りと販売の責任を持つのが「プロデューサー」、監督を行うのが「ディレクター」で、いわゆるゲーム制作の責任者だ。ルールや操作方法、キャラの性能を考え、どのようなステージにしどんな敵を出現させるかなど、遊びの場を考えるのが「ゲームデザイナー」。キャラクターや背景などの絵を作るのが「アーティスト」だ。他にも、BGMや効果音などを作る「サウンドデザイナー」、ゲームの土台を作り、プログラムを書き込んでいく「プログラマー」などがいる。
このすべての業務を1人でこなすケースもあるが、企業では役割ごとに専門職の人がおり、分業する形で1つのゲームを作り上げている。つまり、プログラミングができなくてもゲームクリエイターにはなれるのだ。とはいえ、プログラミングの知識は覚えておいたほうがよいと小林氏は助言する。「プログラミングを知っているとコンピューターなどの仕組みが分かるので、よりゲームを面白くできる。ゲームクリエイターになるには、自分の得意なことを生かしながらもプログラミングを覚えたほうがいい」(小林氏)。
Nintendo Switchでゲームを作ってみる
ゲームクリエイターは、実際はどのようにゲームを作っていくのだろうか。Nintendo Switchとプログラミングを簡単に学べるダウンロード型のソフト『プチコン4 SmileBASIC(以下、プチコン4)』を使い、ゲームを作りながら仕事の内容をわかりやすく説明した。
今回使用したのは、『クレイジードレドランド』という、ジャンプしながら右側に進んでゴールを目指す単純なゲームだ。公式で公開されているサンプルゲームで、よく小学生向けのプログラムワークショップなどで使われている。
ゲーム作りは、コンセプトを決めることから始まる。例えば、『クレイジードレドランド』なら「明るく楽しい横スクロールアクションゲーム」だ。コンセプトを考えるのはプロデューサーやディレクターが多く、それに沿って各担当者がそれぞれ絵を描いたり音楽やルールなどを作っていく。
コンセプトが決まったら、いよいよ中身作りに取りかかる。まずは、ゲームのマップ製作からだ。敵キャラのスカンクや、地形、ゲットすると点数が入るフルーツなどをデータとして作る。これをうまく配置して、面白そうなステージを作るわけだ。
意地悪とご褒美はバランス良く配置
面白いステージを作るコツは、『ハイリスク&ハイリターン』であることだと小林氏は言う。
「この先を進んだらいいものがありそうと思ったら実はないとか、ジャンプできると思ったらできないとか。ただし、そういった意地悪ばかりではダメ。ご褒美も用意して、バランスよく作るといい。プレーする人の気持ちを想像しながら作ると面白いゲームになる」とアドバイスした。
マップが完成したら、背景や登場するキャラクターなどを作っていく。『プチコン4』では、ゲームに使えるドット絵を作ることができる。今回は左右に動く敵キャラを制作した。
BGMやジャンプしたときなどに流れる音楽も付けていく。基本的には作曲するわけだが、『プチコン4』には既にテンプレートの音楽が入っているので、好みの音を選んで番号をプログラミング画面に入力すれば挿入可能だ。「音を付けるシーンや動きで、遊んでる人にどんな気持ちになってほしいか考える必要がある。音によって気持ちは変わるものなので、映像や身の回りのことをよく観察して知識を蓄えたい」(小林氏)。
マッピング、美術、音楽製作を経てようやくプログラミングの段階に移る。これまで作ってきた要素を組み込んでゆくのだ。プログラミング画面にサウンドやキャラクターを動かす命令式などを入力すれば、ゲームとしてプレーできるようになる。
親子のプログラミング学習にも
最後に小林氏は、「一通り作り終わったら自分で遊んでみて、おかしい部分を修正し、初めてプレーする人が困らないように調整をするのが大切だ」と結んだ。ゲーム作りに参加したうい氏も「最初ゲーム作りは難しいと思っていたけれど実際やってみると楽しかった」と感想を述べた。
難しいと思われがちなプログラミングだが、ゲームを作りながら楽しんで学ぶことができる。親子で一緒に挑戦するのもいいし、複雑なプログラミング言語は気が引けるという人が入門編として試してみるのも良いかもしれない。
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