米アマゾン・ドット・コムが米国で無人決済店舗「Amazon Go」を2018年に実用化してから約2年。20年には日本でも様々な無人決済店舗がオープンした。その中で先頭を走る企業の一つが、JR東日本スタートアップの関連会社であるTOUCH TO GOだ。20年3月に実用化店舗の1号店を成功させると、21年3月にはファミリーマートとの資本業務提携で、「ファミマ!!サピアタワー/S店」をオープン。コロナ禍で無人決済はどこまで加速するのか。阿久津智紀社長に聞いた。

※日経トレンディ2021年6月号の記事を再構成

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TOUCH TO GO 社長 阿久津 智紀 氏
1982年栃木県生まれ。2004年にJR東日本に入社。エキナカコンビニ「NewDays」の店長や、青森でのシードル工房事業、ポイント統合事業の担当などを経て、新規事業の開発に携わる。19年7月より現職

――JR山手線の高輪ゲートウェイ駅(東京・港)に無人決済店舗の実用化1号店をオープンしてから約1年がたちました。天井などに設置した約50台のカメラで、来店客が手に取った商品を記録し、商品バーコードを読み込まなくても合計金額を自動計算するという、画像認識AI(人工知能)を使ったシステムは話題を集めました。手応えはいかがですか。

 新駅の高輪ゲートウェイ駅自体が物珍しかったこともあり、オープン当初は大人気で、一時期は新宿のようなターミナル駅の店舗に匹敵する、1日150万円もの売り上げを記録していました。カメラによる商品の認識成功率も、オープンから改修を重ね、今は90%超と高水準。TOUCH TO GOのシステムが安定稼働することが証明でき、問い合わせが多数入るようになりました。決済時に間違いがあれば利用客が修正できるシステムなので認識率は十分とも言えますが、精度はこれからも上げていきます。

 21年3月には、ファミリーマート店舗の省人化(ファミマ!!サピアタワー/S店、東京・千代田)にも挑戦しました。コンビニは毎週新商品が何十個も追加されるし、改廃も早いです。こうした複雑な店舗でもTOUCH TO GOのシステムが使えることが分かったのは大きいです。まだ「ファミペイ」などのスマホ決済に対応できていないのですが、実現のめどは立っています。

直営以外の省人店舗も20年から相次ぎオープン

20年3月:高輪ゲートウェイ駅構内
20年3月:高輪ゲートウェイ駅構内
JR山手線の新駅「高輪ゲートウェイ」構内に実用化第1号の店舗をオープン。オープン当初は大人気で、1日150万円を売り上げた日もあった
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