「フェス中止」の逆境がラジオ開始の契機に

 単に音源のやり取りをするだけではプロジェクトは発展しない。まず、特に将来性を感じるアーティスト17組と共に制作した楽曲を収めたコンピレーションアルバム『Enjoy Music! New Wave Generations Vol.1』を、20年12月に配信リリースした。

 さらに次の一手として、ジョイミューで育てたアーティストを集めたフェスの開催に踏み切る。コロナ禍でライブハウスのキャパシティーが50%に制限されていたこともあり、人気ライブハウスである東京・恵比寿の「リキッドルーム」の半分の観客数に当たる400人は集客できると見込み、21年2月13日に総勢31組が出演する「ジョイミューフェス Vol.1」を企画した。狙い通りチケットは完売したが、緊急事態宣言により中止となってしまった。

 プロジェクトを発展させていくためには、ジョイミュー自体にファンが付かないと駄目だ。その思いからフェスを企画したが中止になり、一時は意気消沈したという保本氏。ただ、そこで感じた思いが番組の放送開始につながることになる。

 「SNSはスピード感や手軽さがありますが、誰でも簡単にアクセスできるので、ありがたみが薄れてしまう。そこで、既存メディアとの融合が大切だと考えました。ラジオを選んだのは、声だけなので情報量はそこまで多くないけど、だからこそみんなが耳を傾ける。人の声って感情がすごく出るので、ジョイミューというプロジェクトにどれだけの思いが込められているか、その熱量を届けるにもすごくいいと思ったんです。実際、コロナ禍でリスナーも増えてますしね」(保本氏)

20年12月に配信リリースしたコンピレーションアルバム『Enjoy Music! New Wave Generations Vol.1』。保本氏と17組のアーティストとのレコーディングを経て完成した17曲を収録
20年12月に配信リリースしたコンピレーションアルバム『Enjoy Music! New Wave Generations Vol.1』。保本氏と17組のアーティストとのレコーディングを経て完成した17曲を収録

 こうした経緯を経て、始まったラジオ番組がジョイミューラジオだ。番組宛てやSNSを介して届けられた、まだ無名のアーティストの音源を次々に紹介。番組で紹介したアーティストは保本氏のプロデュースで楽曲を制作・リリースする可能性もある。ジョイミューと同様、発掘したアーティストをデビューさせ、ヒットさせるのが番組最大の目的だ。「歌詞の面でも応募楽曲に切り込める人がいた方がいい」と、パーソナリティーを務める保本氏のパートナーとして人気作詞家のzopp氏も出演している。

保本氏とzopp氏によるジョイミューラジオ!の収録風景
保本氏とzopp氏によるジョイミューラジオ!の収録風景

 「SNSだけだった時と比べ、番組に送られてきている音源はプロっぽいです。SNSからラジオに一段ハードルが上がったことで、逆に毛色の違う音源が届きます。あと、アーティスト本人だけじゃなくて、マネジャーが担当アーティストの音源を送ってきてくれたりして、早速手応えを感じています。

 僕はセカオワもヒゲダンも、今ジョイミューで関わっているアーティストと変わらないくらい知名度が無い時期を知っていて。それが何かのきっかけでいきなり変わることも経験しています。コツコツとアウトプットすることで誰かに拡散されて、大きなヒットが生まれることがある。その口コミのすごさはSNSのジョイミューで痛感したことなので、ラジオではそれをさらに発展させたいと思っています」(保本氏)