エンターテインメント業界にも、DX(デジタルトランスフォーメーション)の波が押し寄せている。現場では今何が起こり、次にどんなイノベーションが待っているのか。エンタメDXを得意分野の一つとするFIREBUG(東京・渋谷)代表取締役プロデューサーの佐藤詳悟が旗手たちを直撃する。初回は芸能界においてデジタル領域にいち早く着目し、活動の場を広げてきた田村淳さん(ロンドンブーツ1号2号)を迎える。

芸能界においてデジタル領域にいち早く着目し、活動の場を広げてきた田村淳(ロンドンブーツ1号2号、写真右)。2007年からマネージャーを務めていたからこそ共有できる感覚から、FIREBUG代表取締役プロデューサーの佐藤詳悟(同左)が鋭く切り込む
芸能界においてデジタル領域にいち早く着目し、活動の場を広げてきた田村淳(ロンドンブーツ1号2号、写真右)。2007年からマネージャーを務めていたからこそ共有できる感覚から、FIREBUG代表取締役プロデューサーの佐藤詳悟(同左)が鋭く切り込む

佐藤詳悟(以下、佐藤) 今回は「デジタルで実現する『田村淳が目指す世界』」というテーマでお話を伺います。私が吉本興業時代にマネージャーをしていた2007年以降、淳さんと(田村)亮さんから生まれるアイデアをゼロイチから実現していくのは楽しく、淳さんの発想を実現するにはどうしたらいいか、考える中で相当鍛えられました。

  その経験が僕の原点であり、15年に独立してアーティスト支援事業を手掛けるFIREBUGを16年に設立し、今のビジネスの「型」になっています。タレントやアーティストがデジタルを活用して表現の幅を広げるための包括的なサポートや、スタートアップ企業が独創的なアイデアでゼロイチを実現するための様々なビジネス支援。そのすべてに、つながっています。

田村淳(以下、田村) 佐藤はロードマップを描くのがうまいんですよ。

佐藤 より多くの人に知ってもらい、タレントの個性を生かした活躍の場を増やしていく。そのためには長期的な戦略に基づく全体図がないと、やりたいこと・やるべきことのジャッジができませんから。

田村 ロードマップでいうと、「笑っていいとも!」に出るためにはどうしたらいいか、佐藤が考えてくれたんです。まずは、「笑っていいとも!」ではないタモリさんのレギュラー番組(「エチカの鏡 ココロにキクTV」)にゲスト出演して、「タモリさんにインパクトを与えてください」という指示が佐藤からあった。

対談ゲスト:ロンドンブーツ1号2号 田村 淳
1973年12月4日生まれ、山口県出身。バラエティー番組や経済・情報番組などでレギュラー多数。海外での起業、慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科への進学など、タレントの枠を超えて活躍の場を広げている。また、Twitter、Instagram、YouTubeチャンネル「ロンブーチャンネル」、オンライン/オフラインコミュニティー「田村淳の大人の小学校」の他、遺書動画サービス「ITAKOTO」の発案など、デジタルでの活動も積極的に行う

 実践したら、タモリさんが「あ、淳ってイジってもいいんだ」と面白がってくれて。定期的にゲストに呼ばれるようになったところで、佐藤が「ここから『いいとも!』を取りにいきます!」と。長期的な作戦を緻密に遂行してゴールにたどり着くことの重要性が分かったんですね。そして09年にレギュラーを取れたというわけで。

タブー視の奥に隠れた、みんなが知りたいことを伝える

佐藤 淳さんはいつも「とにかくやってみる」という姿勢。他のタレントさんだと「さすがに、それはやめておこうよ」みたいなこともあるけど、「これは面白い」という嗅覚が反応したら一瞬で決めてくれる。

田村 そう、その嗅覚には自信があるなぁ。

佐藤 淳さんのニュースキャスター的な立ち位置だったり、亮さんのパパキャラクターとしての打ち出し方であったりという3年程度の中期計画は、最初のうちはテレビが中心でした。順調に結果が出るようになってからは、多くの人を介在させずに自分で発信する方向に進むんだろうなという予感はあり、実際Twitterを始めたのもその頃。10年のことでした。

田村 ツイキャスの「淳の休日」を始めたのも同じ時期だったよね。

田村淳は早くからTwitterの可能性に注目。またライブ配信サービスの先駆けであるツイキャスを使った個人の手による番組制作も含めて、様々な発信を手掛けて話題を呼んだ
田村淳は早くからTwitterの可能性に注目。またライブ配信サービスの先駆けであるツイキャスを使った個人の手による番組制作も含めて、様々な発信を手掛けて話題を呼んだ

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