ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)再建の立役者、森岡毅氏率いるマーケティング精鋭集団「刀」が、マーケコンサルティング業務の枠を超え、他社への資本参加を伴う経営サポートに乗り出した。その第1弾は、近年、男性化粧品で急成長してきたベンチャーのバルクオム。森岡氏にその狙いと秘策を聞いた。
――男性化粧品ベンチャーのバルクオムに対して、資本参加を伴うマーケティング支援をすると発表されました。ここに至る経緯をお聞かせください。
森岡: バルクオムさんからお話を頂きました。彼らには「世界シェアナンバーワン」、言い換えれば「日本発の世界一ブランド」になるという夢があります。その夢を達成するためには、体制の強化が必要とのことでした。その欲の強さを、私は非常にポジティブに受け止めました。また、「日本を豊かにする」という刀のアジェンダを実現できると思いました。
私はP&G時代から多くの世界一ブランドを見てきました。米国では世界一のヘアケアブランド「パンテーン」のブランドマネジャーを務めました。その経験から分かるのは、世界一になるには、それに見合ったブランド設計が必須ということです。高いレベルで必要条件を満たさなければいけません。
これまでバルクオムは確かに成功してきましたが、より良い方向に変えられる部分もあります。経営陣は30代と若く、フレキシブルです。彼らの業務に私たちのマーケティングノウハウを注入すれば、共に世界一を目指せると判断しました。そこでマーケティング支援だけではなく、資本参加もしてサポートすることにしました。一緒に汗をかけるのは、刀以外にないと自負しています。
――出資額は?
森岡: それは非公開です。ただ以前から、日本のベンチャービジネス界は、米国と比べてノウハウを持っている出資者が少ないのが弱みと見ていました。ベンチャー企業が欲しいのは、実はお金よりも確かなノウハウなのです。もちろん出資はいたしますが、刀が培ってきたノウハウの提供は、お金に勝る援軍だと信じています。
――商品は実際に使われましたか?
森岡: はい。商品を使ってみて、その良さを実感できたことは、応援したいと思う大きなきっかけとなりました。バルクオムは3ステップのスキンケアを提唱しています。リッチな泡が出る洗顔料で顔を洗い、化粧水で潤し、乳液で肌を守る。これを体験したときに、肌の変化がよく分かるんですね。私は慎重な性格なので他社製品とも比較しましたが、やはりクオリティーの高さは感じられました。
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