テレワーク、副業解禁と、企業の在り方が激変する今、「知見シェア」サービスを運営するビザスクの存在感が高まっている。同社を創業し、代表取締役CEOを務める端羽英子氏に、創業の信念やベンチャーでの新規事業を成功させる哲学を聞いた。
※日経トレンディ2021年1月号の記事を再構成
2020年3月、新型コロナウイルスの影響でニューヨーク株式市場が過去最大の下げ幅を記録し、サーキットブレーカー(売買一時中断)が発動された翌日の3月10日、あるベンチャー企業が東証マザーズへの上場を果たした。個人の「知見」をシェアするサービスを運営するビザスクだ。同社を創業し、代表取締役CEO(最高経営責任者)を務めるのが、端羽英子氏だ。
「新規事業を立ち上げるために、この経験を持つ人のアドバイスが欲しい」「ターゲット業界の人に、商品の使い勝手を聞きたい」といった企業側の調査ニーズと、個人が持つ知見とを、「スポットコンサル」と呼ぶ形式でマッチングさせるビジネス。1時間のインタビューという気軽さがありながら、市場調査レポートなどと比べると対話を通して深掘りでき、肌感覚が分かる点が評価されている。
今では国内外で12万人を超えるアドバイザーを抱え、マッチング実績は累計7万件を超える。約600の大手企業が社外の知見を活用するという巨大なプラットフォームに成長しているが、始まりは一つの「面談」だった。
端羽氏が同社を創業したのは、12年。ウーバーやAirbnbといったシェアリングビジネスが台頭しており、それに感銘を受けた端羽氏は、個人が売り手になれるサービスを立ち上げたいと考えた。当初頭にあったのは、個人がキュレーションしたものを売るEC。エクセルに書き込んだ事業計画を手に、ECの運営経験のある人に相談した時のことだった。
「君は何も分かっていない!と、1時間徹底的にダメ出しされたんです。その指摘がすべて的確で大いに納得してしまいました。そして、この時間そのものが有意義。売りたいのはこれだ、と気付いたんです」(端羽氏、以下同)
この記事は会員限定(無料)です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー