テレワーク、副業解禁と、企業の在り方が激変する今、「知見シェア」サービスを運営するビザスクの存在感が高まっている。同社を創業し、代表取締役CEOを務める端羽英子氏に、創業の信念やベンチャーでの新規事業を成功させる哲学を聞いた。

※日経トレンディ2021年1月号の記事を再構成

 2020年3月、新型コロナウイルスの影響でニューヨーク株式市場が過去最大の下げ幅を記録し、サーキットブレーカー(売買一時中断)が発動された翌日の3月10日、あるベンチャー企業が東証マザーズへの上場を果たした。個人の「知見」をシェアするサービスを運営するビザスクだ。同社を創業し、代表取締役CEO(最高経営責任者)を務めるのが、端羽英子氏だ。

ビザスク代表取締役CEO 端羽 英子
はしばえいこ。東京大学経済学部卒業。ゴールドマン・サックスにて投資銀行業務、日本ロレアルにて予算立案・管理を経験し、MIT(マサチューセッツ工科大学)にてMBAを取得。ユニゾン・キャピタルにてPE投資に5年間携わった後、ビザスクを創業

 「新規事業を立ち上げるために、この経験を持つ人のアドバイスが欲しい」「ターゲット業界の人に、商品の使い勝手を聞きたい」といった企業側の調査ニーズと、個人が持つ知見とを、「スポットコンサル」と呼ぶ形式でマッチングさせるビジネス。1時間のインタビューという気軽さがありながら、市場調査レポートなどと比べると対話を通して深掘りでき、肌感覚が分かる点が評価されている。

ビザスクの「スポットコンサル」のイメージ。国内外で12万人の登録があるアドバイザーに、企業はピンポイントで情報を得るための1時間の面談を依頼。以前から多かったが、コロナ禍でさらにオンライン面談が増えた
ビザスクの「スポットコンサル」のイメージ。国内外で12万人の登録があるアドバイザーに、企業はピンポイントで情報を得るための1時間の面談を依頼。以前から多かったが、コロナ禍でさらにオンライン面談が増えた
企業側が話を聞きたい人材を自ら検索してセルフマッチングする「ビザスクlite」と、非公開人材を含めたアドバイザー探しを依頼できるフルサポート形式の「ビザスク」がある
企業側が話を聞きたい人材を自ら検索してセルフマッチングする「ビザスクlite」と、非公開人材を含めたアドバイザー探しを依頼できるフルサポート形式の「ビザスク」がある

 今では国内外で12万人を超えるアドバイザーを抱え、マッチング実績は累計7万件を超える。約600の大手企業が社外の知見を活用するという巨大なプラットフォームに成長しているが、始まりは一つの「面談」だった。

 端羽氏が同社を創業したのは、12年。ウーバーやAirbnbといったシェアリングビジネスが台頭しており、それに感銘を受けた端羽氏は、個人が売り手になれるサービスを立ち上げたいと考えた。当初頭にあったのは、個人がキュレーションしたものを売るEC。エクセルに書き込んだ事業計画を手に、ECの運営経験のある人に相談した時のことだった。

「君は何も分かっていない!と、1時間徹底的にダメ出しされたんです。その指摘がすべて的確で大いに納得してしまいました。そして、この時間そのものが有意義。売りたいのはこれだ、と気付いたんです」(端羽氏、以下同)

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