自宅で2人のセルフラジオを録音。「こんな変な声なの?」と仰天!

──宮下さんはもともとラジオ好きだったそうですね。

宮下 芸人になる前に、好きな芸人さんのラジオをよく聴いていたんです。芸人さんが一番面白いのはラジオだっていう感覚があったんですよ。一番聴いたのは、おぎやはぎさんの「メガネびいき」(TBSラジオ)。だから、芸人になったとき、まずはラジオのレギュラーが欲しかったんですよね。

 草薙とコンビを組む前の養成所時代、ラジオをやりたいが故に、2人でセルフラジオのような会話を録ったことがあったんです。草薙とはまだ漫才も作ってなかったのに。そのためにすごくいいマイクを買った。自分の部屋の収録環境をしっかり整えて草薙を呼んで、2人の会話を録って聴いてみたんです。そうしたら草薙が「え? 俺ってこんな変な声なの?」って、初めて自分の声が変だと気付いて、慌てて「すぐ消してくれ! こんな変な声のやつのラジオは流せない」って言い始めた(笑)。

草薙 いいマイクだから、声がすごく鮮明に録音されてね。そこで初めて、「あ、俺ってキャラ芸人なんだ」って思ったんですよね。僕は顔出しもあまりしたくなくて、ネタを披露するときも、YouTubeとかに映像無しでアップしてもらえないかなって思っていたくらい。芸人なのに何言ってるんだって感じですけど。

 ラジオは顔が出ないのでいいですね。しかも「宮下草薙の15分」は出演者も僕たち2人だけだし、スタッフも、ディレクターさんとアシスタントさんと、僕たちのマネジャーしか現場にいない。みんな優しくて空気みたいな雰囲気の方なので、リラックスできるんです。テレビはスタッフも多いし、スタジオの奥の方でスーツ着て鬼みたいな顔で腕組んでる人がいたりして、萎縮しちゃうこともあるから(笑)。

15分“完走”できたのは、この1年間で1回か2回

宮下 僕はもともと長く話す方が好きで、それでラジオ番組に引かれていたところもあったんです。収録では、毎回のトークテーマに沿って話す内容を考えて臨んでいるんですね。でもいかんせん相手が草薙なので、ちゃんと話を聞いてもらえなかったり、途中でケンカになったりしてしまうことも多くて、15分なのに完走できたことはほぼ無いですね(笑)。自分が設定したゴールテープを切れたと思ったのは、この1年間で多分1回か2回くらい。

 唯一、「用意した話を完璧に話し切れたな」と思えたのは、彼女とディズニーランドに遊びに行ったことを話した回。話の内容自体も良かったと思いますし、草薙も楽しく聞いてくれたのが大きかった(笑)。草薙の笑いのツボは信用しているんですが、「面白がってくれるだろう」と予想して持っていっても、疲れていたり、機嫌が悪かったりするときはあまり聞いてくれない。

草薙 機嫌が悪いんじゃなくて、調子が悪いの(笑)。番組の収録に入って、「今日はこういう感じか」って分かって、調子がつかめるまでにだいたい12分くらいかかるんですよ。その間にもう1回分の収録は終わっちゃう。調子の上げ方も分からないから、そこから調整しようもない。

宮下 そうやって1年やってきました。番組全体の手応えとしても、「あ、これはつかんだな」という回があると思ったら、次はまたうまくいかなくて、「あれ、全然つかんでなかった」と。最近録った3本の出来がひどくて、つかんだと思っていたものをすぐに捨てました(笑)。

草薙 3本録りの1本目でしくじると、3本目の終わりまで引きずるしね(笑)。でもちょっとずつ慣れて、最初は2本が限界だったけど、今は3本録りできるようになりました。

──トークの中で、ケンカが起きることも珍しくないですね。殺伐としているわけではなく、たわいない兄弟ゲンカのようでほっこりします。

宮下 ケンカって言っても、政治で激論してるわけじゃなくて、取るに足らない小競り合いというか(笑)。他からしたらどうでもいい、くだらないことを2人でガヤガヤ言ってるだけだから、そう思ってもらえるのかもしれないですね。

草薙 僕もできればケンカはしたくないんです(笑)。でも、普段の楽屋でもあんな感じなんですよね。お互いに色々言い合っているうちに、「あ、この次の言葉を返したら絶対ケンカになるな」って分かるんです。収録だと我慢しますけど、普段は我慢しない。ラジオってそのちょうど真ん中の感じで、我慢せずに言っちゃうときがある。それでケンカになって、「あ、収録中だった」って後で困るんですけど(笑)。

宮下 テレビで話しても全然伝わらないようなどうでもいい話も、ラジオだったらしますからね。それがいい意味で素っぽいのかもしれないですね。

草薙 今から5年以上前、コンビを組む前の養成所時代に、ライブ後に2人で同期の家に泊まりに行ったことがあったんです。そのときはまだ仲良くなかったんですけど、一軒家の2階に2人で布団を敷いて寝て、朝までずっとしゃべってた。それがすごく楽しくて、そこで仲良くなったんです。ラジオはそのときの感覚でやっているようなところもあるんですよね。

宮下 あのときはすごかったよね。あの感じだったら、「宮下草薙の4時間」とかでもいける(笑)。

草薙 そう、4時間くらいずっとしゃべってて、そのうちの3時間50分くらいは笑ってたよね。

宮下 そのときに「こんなやつなんだ」と、お互い思った。あれ、録音しときたかったな。その音声を聞いたうえで、今のラジオを聴いてもらえたら、「こいつら話すのうまくなったな」と思ってもらえると思います(笑)。

 実は今でもあのときみたいな感触がある回もあります。「どんな魔法が使いたいですか?」というリスナーさんからのトークテーマに基づいて話した回があったんですけど、僕が「人をソフトカルビにする」とか「ハラミにする」とか言って(笑)。その回は、とにかくずっとどうでもいい話を2人で笑いながらしてましたね。