
ホンダ初の量産EV(電気自動車)として、2020年10月30日に発売された「Honda e」。8月下旬に発表後、受注開始から僅か2週間弱で第一期の販売予定台数(数百台)が完売するという、注目度の高さを示す。街乗りでの使いやすさを追求したコンパクトなボディと愛らしいデザインに、先進技術を満載した個性際立つモデルだ。開発責任者の一瀬智史氏に、クルマに込めた思いを聞いた。
ホンダ 「Honda e」開発責任者
「世界でホンダのプレゼンス(存在感)を高める役割を担うクルマ」。Honda eについて、開発責任者を務めた一瀬氏はこう語る。欧州の環境規制強化に対応するためのEVであると同時に、多くの先進技術とホンダらしい徹底したこだわりを盛り込み、10年先のクルマのあり方を提案する。
目指したのは「街中ベスト」。航続距離はフル充電で283キロメートル(スタンダードモデル・WLTCモード)と従来型EVと比べて短いが、バッテリーが小さいぶん、街中での取り回しがいいコンパクトな車体や小回り性能の高さ(最小回転半径4.3メートル)を実現した。航続距離を割り切ったことで、搭載するバッテリー容量は家庭でほぼ一晩で充電できる35.5キロワット時に抑えている。
「実際のところ、1日の走行距離は90キロに満たない人が大半なのが現状。いざというときのためだけに重くて大きいバッテリーを載せるよりも、普段使いでの心地良さを優先した方がこれからの社会で合理的なのでは」(一瀬氏)というのが、未来志向の都市型コミューターであるHonda eの主張だ。
最先端の技術も“てんこ盛り”
未来を“見せる”クルマとして、最先端技術も詰め込んでいる。象徴的なのが、5枚のディスプレーが並ぶダッシュボード。中央の大画面では、ナビゲーションやエンターテインメントなど様々な機能をアプリとして利用でき、音声認識で情報検索ができる「Hondaパーソナルアシスタント」も備える。一瀬氏は「自分の部屋やリビングにいるような価値をクルマに取り入れた」と説明する。
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