「忍者女子高生」「6秒商店」「ハロー!ブランニューワールド」などの動画コンテンツが立て続けにSNSなどで拡散(バズ)され、10億回超えの再生数を獲得してきたCHOCOLATE Inc.(チョコレイト)のCCO(チーフ・コンテンツ・オフィサー)・栗林和明氏。米国で最も権威ある広告誌のひとつ『Advertising Age』の「40 under 40」(注目すべき40歳未満の40人)にも選ばれた栗林氏の仕事と「バズの先にある動画コンテンツの作り方」、そして今後の野望とは。

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栗林 和明(くりばやし かずあき) 氏
CHOCOLATE Inc. CCO/企画屋
1987年生まれ、東京都出身。博報堂、TBWA\HAKUHODOを経て、CHOCOLATE Inc.に参画。統合コミュニケーション設計をはじめ映像企画、空間演出、商品開発を担う。JAAAクリエイターオブザイヤー最年少メダリスト。カンヌライオンズゴールドやACCグランプリ、他国際短編映画祭、メディア芸術祭、スパイクスアジア、など、国内外のアワードで、60以上の受賞。米誌Ad Age「40 under 40(世界で活躍する40歳以下の40人)」選出。

映像分析からの気づき、「忍者女子高生」がヒット

 「プランナーという肩書で、あらゆるコンテンツの企画をする人間です」。こう自己紹介する栗林和明氏は1987年生まれ。中学の頃から「人の心を動かすこと」に興味を持ち、2011年に博報堂入社。まず取り組んだのが、台頭していたソーシャルメディアの研究だった。

 「Facebook、Twitter、YouTube。それぞれで数字が良かったものを一覧化して、共通点を分析しました。そこで分かったのは、言語に依存していないものが世界に広がっていること。CMに何億円とかけなくても、みんなにシェアしてもらえればたくさんの人に見てもらえることが最大の気づきでした」

 なぜみんな、シェアしたくなるものを作らないのか? そう考えた栗林氏は「誰よりも先にそれをやりましょう」とサントリーに提案。14年に生み出したのが「忍者女子高生 | 制服で大回転 | japanese school girl chase # ninja」だ。女子高生2人が突如アクロバティックな追いかけっこを始めるという約3分半の動画で、炭酸飲料「C.Cレモン」をさりげなく盛り込んでいる。

 「『凄技』などのシェアされやすいポイントをできる限り詰め込んで、海外の人にも反応してもらいやすいよう、『忍者』という日本文化の要素も入れました。反響は想像以上で、テレビからの取材が殺到したり、カンヌライオンズなどで賞をいただいたり。『広告の新しい形だ』と言ってくださる方も多かったです」

 『忍者女子高生』はサントリー公式チャンネルで1000万回以上の再生数を獲得している。

「縦型スマホジャックMV」「アメフト椅子取り」が話題に

 16年に手掛けたのが、アイドルユニット「lyrical school(リリカルスクール)」の『RUN and RUN』のミュージックビデオ(MV)だ。「スマホで見て!」と口コミで広がったこのMVは、見始めるとスマホのロック解除画面が表れ、TwitterやLINEなどのアプリ画面が次々に起動していくという「縦型スマホジャックMV」だった。

 「当時スマホでの視聴に特化したMVはなかったので、それを一番にやろうと思いました。力を入れたのは、驚きを与えること。いつも使っているTwitterやメッセージアプリにどんどん歌詞や動画が出てきて、まるでスマホが乗っ取られたかのような体験を作っていきました」

 革新的MVとしてバズり、カンヌライオンズ(サイバー部門)で銅賞も受賞した。

チョコレイトCCOの栗林和明氏が登壇します!
チョコレイトCCOの栗林和明氏が11月16、17日に行われる「日経クロストレンド FORUM 2020」に登壇します。オンラインでの講演なので、どなたでもご視聴が可能です(無料登録制・先着順)。お申し込みはこちらから!

YouTube短編映画で国際映画祭受賞

 17年にチョコレイトに参画し、CCOに。以降の成功事例が、18年の「6秒商店」と、19年の「ハロー!ブランニューワールド」だ。

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