子どものビジネス経験の支援を

 もう1つ、「子どものビジネス経験の支援」にも力を入れていく。例えば、探究学舎の授業を通じて、「元素」に興味を持った当時小学4年生の「レウォン君」が考案した「元素カルタ」の商品化を講師陣がサポート。商品化の費用をクラウドファンディングで公募したところ、目標金額の75万円を大幅に上回る383万円が集まった。制作過程でのアドバイスも、子ども扱いせずビジネス視点で改善点を指摘した。

 「今の小学生が成人する頃には、自営業やフリーランスで働く人の割合が増える可能性が高い。ならば、早い時期から自分で自分をマーケティングする力を養ったほうがいい。誰でもやるべきだと言っているのではなく、好きで得意なことがもう見つかったならという話。大人になるのを待たずにビジネスとして挑戦すれば、失敗したとしても大きな学びになるはず」

レウォン君が考案した「元素カルタ」。探究学舎でアドバイスし、クラウドファンディングで商品化した
レウォン君が考案した「元素カルタ」。探究学舎でアドバイスし、クラウドファンディングで商品化した

 小学生向けの授業を受けてきた“卒業生”を想定し、中高生向けの授業もマーケティング編やメディア編などを11月からスタートする。テーマはまだ構想段階だが、より現実社会の課題に即した内容を提供する予定だ。

 オンライン授業のデータ解析を通じて、子ども一人ひとりの興味や強みを“見える化“し、さらに社会に生かせる価値として、マーケティング視点でセルフブランディングする力を養う支援もしていく。

 教育のDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速し、学びの常識が大きく変わろうとする。そんな流れの中で、時代の半歩先のニーズを捉え、探究学舎は新しい地図を描こうとしている。

今年に入って移住した軽井沢の自宅から。ワーケーションを自ら実践し、新プロジェクトも計画中だ
今年に入って移住した軽井沢の自宅から。ワーケーションを自ら実践し、新プロジェクトも計画中だ
ヒットをつくる人の素顔

自分の業界以外で注目しているヒット現象、ヒット商品は?

アニメ化で大ヒットした漫画『鬼滅の刃』。いきなり初回から主人公の妹が悲劇に遭う物語も、ドラマツルギーが徹底している構成。子どもはもちろん大人も熱狂するコンテンツの作り方は、授業づくりの参考になります。

仕事の情報源は?

図鑑です。科学誌『ニュートン』が発行しているシリーズなどを愛読しています。映像資料では「NHKスペシャル」。ニュースサイトはほとんど見ません。常に入れ替わるフロー型の情報より、よく練られて編集されたストック情報を参考にしています。

宝槻氏の自宅にあった図鑑。授業を開発するヒントを得ている
宝槻氏の自宅にあった図鑑。授業を開発するヒントを得ている

影響を受けた人、本は?

教育者として最も影響を受けたのは父親です。博識で子どもの興味を刺激する天才。高校を中退した僕を、自分が経営する塾に入れて京都大学に合格させた、教育業界の先輩でもあります。本は高校時代に読んだエーリッヒ・フロム。1冊挙げるとすれば『生きるということ』。何を所有するかではなく、人としてどうあるかが本質であると学びました。司馬遼太郎作品が描く幕末の志士たちの使命に燃える生き方にも感銘を受けました。

2021年にはやると思うものは?

ワーケーション。リモートワークが浸透することで、本格的に検討する人は増えるでしょう。僕自身もこの春、軽井沢に移住しました。自然豊かな環境の中で生活するだけで、インスピレーションが磨かれ、思考の調和がとれるような感覚があります。今日も近所の友人を呼んで、庭でたき火を楽しむ予定なんですよ。

「探究学舎」軽井沢スタジオでの配信風景
「探究学舎」軽井沢スタジオでの配信風景

(写真/村田和聡、写真提供/探究学舎)

■修正履歴
・記事掲載当初、授業期間を「原則1カ月」と記載しておりましたが「原則2カ月(1カ月のものもある)」が正しいです。本文は修正済みです。[2020/10/19 11:00]
・記事掲載当初、「中高生向け授業開始は11月にスタートする」と記載しておりましたが、一部開始しているものもあるため表現を正しいものに修正済みです。[2020/10/19 11:00]