LVMH、ケリング、リシュモンという三大高級ブランドグループには属さない米国ブランド「コーチ」は何度も危機を迎えながらもその理念に立ち返り、再生を果たしてきた。そして、同ブランドの現在の課題は、成長の原動力となった“手の届く高級”からの脱皮だろう。

 前回は「ルイ・ヴィトン」を事例にラグジュアリーブランドビジネスを取り上げ、老舗ブランドが再生する過程を探った。ラグジュアリーブランドビジネスは、「クリスチャン・ディオール」「フェンディ」などを傘下に持つLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンを筆頭に、「グッチ」「ボッテガ・ヴェネタ」「バレンシアガ」などを持つケリング、「カルティエ」「ヴァン クリーフ&アーペル」などを持つリシュモンの三つどもえが続いている。

 老舗ブランドがこういったグループ傘下に入ることで方向転換を行った事例は多い。家族経営で非上場のときは「最高品質のものを作って使ってもらうこと」が最優先だったが、「合理化を図って多くの利益を出す」「ファッション化して高付加価値化する」ことで、定性・定量双方で再生したブランドが少なくはない。

 一方、規模の拡大を目的としたマーケティングの中で当初の理念といつの間にかずれていき、ブランドアイデンティティーを立て直す事例もある。上記の三大グループの傘下ではないが、米国の「コーチ」は歴史あるブランドの1つであり、再生を重ねて今に至っている。

1941年、米ニューヨークで革製品の工房としてスタートしたブランド「コーチ」
1941年、米ニューヨークで革製品の工房としてスタートしたブランド「コーチ」

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