シーズン最盛期にセールの札が並ぶようになったアパレルショップ。そのために、コストを抑えたセール専用商品をつくるブランドまで出てきている。これでは短期的に売り上げを確保できても、中長期的には企業やブランドの価値を下げることになりかねない。

(写真/shutterstock)
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 コロナ禍による百貨店やファッションビルの不振、アパレル企業の倒産や業績悪化が報じられている。2020年9月中旬には、大手アパレルのTSIホールディングスが構造改革に伴う希望退職の募集を発表した。これで、アパレル上位3社(ワールド、オンワードホールディングス、TSIホールディングス)が、大幅な店舗縮小とともに、希望退職を実施することに。業界の先行きに明るさは乏しく、出口が見えない閉塞感が続いている。

 しかし、本連載の第1回第2回で説明してきたように、これらの兆しは以前からあった。“既存のシステム”が時代とずれていることに気づきながら、まだしばらくは成立するという甘えがあった。それが新型コロナ問題で一気に顕在化し、対処せざるを得なくなったというのが実態ではないだろうか。本連載ではファッション業界の何が課題で、どうしたら前に進めるのかについて、具体的な企業やブランドの動きを含めて考察していく。

コロナ禍でアパレルの激安セールが常態化

 20年の夏から秋にかけ、アパレルのセールは長期間に及んだ。9月下旬の4連休でも、まだセールの赤札が並ぶ。銀座を歩いていて「70~80%オフ」を掲げているセレクトショップを目にし、好きなブランドがあると勇んで入ったのだが、結局、買わずに退散した。鏡の前で服を当てながら、それなりに仕立てられた服が、ここまで価格を落とさざるを得ない状況になっているのかと。こんなに値下げし、自らの価値をおとしめている商品は他にないのではないかと、やるせない気分になったのだ。

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