カインズのデジタル戦略と顧客体験

カインズのSPA(製造小売り)化を指揮して成長させ、2018年に“IT企業宣言”をしてデジタル戦略の先鞭(せんべん)をつけた土屋裕雅会長に、「デジタルを経営の根幹に据える」意味や「今後のリアル店舗の価値」について聞いた。

前回(第4回)はこちら

カインズの土屋裕雅会長は1966年生まれ。90年に早稲田大学商学部卒業後、野村証券入社。96年にいせや(現ベイシア)入社、98年カインズ取締役就任、2000年同常務取締役、02年に同代表取締役社長となり、19年3月より現職
カインズの土屋裕雅会長は1966年生まれ。90年に早稲田大学商学部卒業後、野村証券入社。96年にいせや(現ベイシア)入社、98年カインズ取締役就任、2000年同常務取締役、02年に同代表取締役社長となり、19年3月より現職

19年から、外部から招いた高家正行氏に社長を任せました。高家社長以前に、外部から経営陣に入ってもらったり、アドバイスをもらったりすることはあったのでしょうか。

土屋 成功例はありませんでした。これはカインズだけじゃなくてベイシアグループ全体がそうなのですが、プロパー主義みたいなものがありまして。そういう濃い文化の中であうんの呼吸でやっていけるのは楽なんでしょうけれど、何か違うんじゃないのかなと私はずっと前から思っていて。そこで小売業以外のセミナーにも出るようになり、5年前くらいにたまたま出会ったのが高家でした。

当時ご自身でデジタル施策を指揮してもなかなかうまくいかなかったと聞きましたが。

土屋 当時のITというとECで、そのECが全然鳴かず飛ばずで失敗を繰り返していました。そこでこれは小さくやっていてはだめだと思い、カインズの経営を外から見たときにどう映るのかを素朴に見てもらいたいという気持ちはありましたね。

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