人気文具に学ぶ「ヒットのつくり方」

50年以上も売れ続けているロングセラー製品は、なぜ今までも人気を保っているのか。共和(大阪市)の輪ゴム「オーバンド」やシード(大阪市)の消しゴム「Radar(レーダー)」、マルマン(東京・中野)のスケッチブック「図案スケッチブック」を取材すると、どれも発売当初からデザインを変えていない点が大きな特徴だ。

共和の輪ゴム「オーバンド」やシードの消しゴム「Radar(レーダー)」、マルマンのスケッチブック「図案スケッチブック」を今回、取り上げた。どれも発売当初からデザインを変えてないため、認知度は高い
共和の輪ゴム「オーバンド」やシードの消しゴム「Radar(レーダー)」、マルマンのスケッチブック「図案スケッチブック」を今回、取り上げた。どれも発売当初からデザインを変えてないため、認知度は高い

 ロングセラーのコツを探ると、3つのポイントが浮かび上がる。「苦境に陥っても市場に浸透したデザインは変えない」「販売が安定しても製品開発を怠らない」「常にユーザーの目線を忘れない」となるだろう。当たり前のことかもしれないが、これらをやり続けるためには、不断の努力が問われる。

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パッケージデザインには触らない

 共和は、現在のような輪ゴムを1917年から開発していた。当時の輪ゴムは海外製の硬い輪ゴムが中心。そこで柔らかい輪ゴムを開発してオーバンドとして53年に商標登録し、本格的な取り組みを始めた。

 パッケージは当時から基本的に変えていない。軟膏の「メンソレータム」の看護婦少女のデザインなどでも知られる、グラフィックデザイナーの今竹七郎氏が手掛けたものだ。2013年度グッドデザイン賞のグッドデザイン・ロングライフデザイン賞も受賞している。ネーミングの由来には諸説がある。「輪ゴムの王様」の意味や、すごい製品という意味で感嘆詞の「Oh!」というもの、また輪ゴムの形状からアルファベットの「O」を連想させたというものだ。

 「パッケージデザインは今竹氏の代表作ともいわれている。当社を代表する製品として、さらには今竹氏への敬意も含めて、デザインの変更は禁じている」と共和の企画・マーケティンググループの池田哲人グループマネージャーは言う。