
50年以上も売れ続けているロングセラー製品は、なぜ今までも人気を保っているのか。共和(大阪市)の輪ゴム「オーバンド」やシード(大阪市)の消しゴム「Radar(レーダー)」、マルマン(東京・中野)のスケッチブック「図案スケッチブック」を取材すると、どれも発売当初からデザインを変えていない点が大きな特徴だ。
ロングセラーのコツを探ると、3つのポイントが浮かび上がる。「苦境に陥っても市場に浸透したデザインは変えない」「販売が安定しても製品開発を怠らない」「常にユーザーの目線を忘れない」となるだろう。当たり前のことかもしれないが、これらをやり続けるためには、不断の努力が問われる。
【第8回】 180度水平に開く画期的なノートが大人向けで好調 売る仕掛けは
【第9回】 キングジム、コクヨが開発 今、テレワーク用バッグが人気のワケ
【第10回】 文房具屋さん大賞で機能賞 カンミ堂「タップテープ」は何が凄い
【第11回】 50年売れるデザイン 輪ゴム「オーバンド」ロングセラーの理由←今回はココ
【第12回】 段ボール開梱カッター「カイコーン」が60万本超 宅配増加で人気
パッケージデザインには触らない
共和は、現在のような輪ゴムを1917年から開発していた。当時の輪ゴムは海外製の硬い輪ゴムが中心。そこで柔らかい輪ゴムを開発してオーバンドとして53年に商標登録し、本格的な取り組みを始めた。
パッケージは当時から基本的に変えていない。軟膏の「メンソレータム」の看護婦少女のデザインなどでも知られる、グラフィックデザイナーの今竹七郎氏が手掛けたものだ。2013年度グッドデザイン賞のグッドデザイン・ロングライフデザイン賞も受賞している。ネーミングの由来には諸説がある。「輪ゴムの王様」の意味や、すごい製品という意味で感嘆詞の「Oh!」というもの、また輪ゴムの形状からアルファベットの「O」を連想させたというものだ。
「パッケージデザインは今竹氏の代表作ともいわれている。当社を代表する製品として、さらには今竹氏への敬意も含めて、デザインの変更は禁じている」と共和の企画・マーケティンググループの池田哲人グループマネージャーは言う。
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー