
ガラスペンが最近、ブーム的な様相を見せている。2020年9月に開催された「ISOT(国際文具・紙製品展)2020」では、ハリオサイエンス(東京・台東)の「毎日使いたいガラスペン」が第29回日本文具大賞2020 デザイン部門グランプリを獲得。同社のECサイトを見ると在庫切れのため12月末にならないと出荷できない状況だ。
9月の販促イベント「文具女子博 #インク沼2020」(文具女子博実行委員会が主催)では、各社からガラスペンが展示され、多くの来場者で各ブースは人だかりがしていた。さらに文具を扱う大手流通の中には、売り場の一画にガラスペンの販売コーナーを設ける例もあるほどだ。
ガラスペンは職人による手作りが多く、大量生産品ではないため、数千円から1万円以上の製品もある。それが展示会では飛ぶように売れ、常に完売状態。20年の売り上げが前年比で2倍になった例もあるという。見た目の美しさから、工芸品として購入する人もいる。
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デジタル時代の中で、なぜアナログともいえるガラスペンが人気を博しているのか。背景には、万年筆やつけペンとは異なる特徴を持ち、“インクブーム”でさまざまな色のインクが出てきたことが挙げられる。
簡単に使えて書き味はなめらか
ガラスペンは、つけペンの一種。1900年ごろから登場し、さまざまな改良やデザインが施され、現在はペン先や軸など全体をガラスで作った製品がほとんど。ペン先の側面に細かい溝を入れてあり、ペン先をインク瓶に浸すと溝にインクがたまる仕組み。使用後は水洗いし、布やティッシュペーパーで拭き取る。このため万年筆より簡単に多くの色で書けるようになる。
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