人気文具に学ぶ「ヒットのつくり方」

特集4回目はナカバヤシの「ori-pact(オリパクト)」を取り上げる。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴うテレワーク需要により、2019年10月~20年2月と20年3~7月を比較すると売り上げが約2.5倍に増加した。机の上に置いてオフィス用品を収納でき、終われば折り畳んでかばんに入れて持ち運べる点が好調の理由だ。

前回(第3回)はこちら

「たためる・はこべる・しまえる」を訴求するオフィスグッズシリーズの「ori-pact(オリパクト)」。「デスクオーガナイザー」「バッグスタンド」「チェアオーガナイザー」「オフィスキャリングトート」などがある
「たためる・はこべる・しまえる」を訴求するオフィスグッズシリーズの「ori-pact(オリパクト)」。「デスクオーガナイザー」「バッグスタンド」「チェアオーガナイザー」「オフィスキャリングトート」などがある

 オリパクトには、「デスクオーガナイザー」「バッグスタンド」「オフィスキャリングトート」「チェアオーガナイザー」などがあり、いずれも「たためる・はこべる・しまえる」をキャッチコピーとして形状をデザインした。畳んでさまざまな場所に持ち運び、組み立てるとすぐに仕事の環境を整えることができる。カフェや自宅などでも業務がやりやすくなるため、テレワークやフリーアドレスにより固定の仕事スペースを持たない人や在宅勤務の人が主に購入している。

 オリパクトシリーズの開発がスタートしたのは2018年5月。当時は今ほどリモートワークの注目度が高くはなく、フリーアドレスのオフィスやシェアオフィスで働く人々をターゲットに設定したという。

 「働き方改革の影響でフリーアドレスを導入する企業が増加傾向にあると見込み、生産性向上やフレキシブルな働き方をサポートする商品の需要も増加すると考えた。そこで、フロア間の移動が多い人や、自席以外で仕事をする機会が多い人達に向けた商品開発をすることにした」(ナカバヤシ企画部の阿部桃吾氏)

 開発する際にこだわったのが、「コンパクトで持ち運べる」ことだった。ナカバヤシではオリパクトの他にも多彩な整理整頓グッズを発売している。しかし、そのほとんどはプラスチックを素材にしており、サイズも大きいものが多かった。紙素材の道具箱「ライフスタイルツール」なども販売していたが、箱形のためかばんの中でかさばり、持ち運びには適していなかったという。そこで、かばんに入れやすいコンパクトな整理整頓グッズとしてオリパクトを開発した。

このコンテンツ・機能は有料会員限定です。

有料会員になると全記事をお読みいただけるのはもちろん
  • ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
  • ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
  • ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
  • ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー
ほか、使えるサービスが盛りだくさんです。<有料会員の詳細はこちら>
この記事をいいね!する