withコロナ時代の「都市DX」

ゼネコン大手の清水建設が2021年秋、東京・豊洲に“都市型”の道の駅を開業する。交通広場や歩行者デッキを整備し、デッキ上ではフードトラックを使った移動販売を展開する。目指すは、米テスラの電気自動車(EV)のように進化していく街だという。現実空間をデジタル上に再現する「デジタルツイン」という手法でシミュレーションを重ね、新技術やにぎわいを育むイノベーション拠点にしたい考えだ。

「豊洲MiCHiの駅」はオフィス棟(右)とホテル棟からなり、歩行者デッキを介して、豊洲市場方面と晴海運河がフラットにつながる。幹線道路の環状2号に面している
「豊洲MiCHiの駅」はオフィス棟(右)とホテル棟からなり、歩行者デッキを介して、豊洲市場方面と晴海運河がフラットにつながる。幹線道路の環状2号に面している

 豊洲市場からすぐ近く。都心方面へと通じる幹線道路「環状2号」に面した豊洲6丁目の一角で、清水建設が大規模な街づくりに挑んでいる。同社単独の開発としては過去最大級となる約600億円を投じ、2021年秋にオープンする「豊洲MiCHiの駅」だ。

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 オフィス棟とホテル棟という2つのビルを建設し、その間を歩行者デッキで結ぶ。豊洲市場に隣接する、新交通ゆりかもめ「市場前」駅から、晴海運河までをビル伝いに移動できるようにするのが、今回のプロジェクトの全貌だ。

 オフィス棟は「メブクス豊洲」と命名。地上12階建てで、1フロアの面積は国内最大級の約2000坪(約6600平方メートル)を誇る。ホテル棟はビジネスホテル「ドーミーイン」を展開する共立メンテナンスが運営し、地上14階建て、582室の「ラビスタ東京ベイ」として開業する。最上階に大浴場、エステ、プール、アスレチック施設を備え、東京湾のオーシャンビューを望める都市型リゾートホテルとなる。

 総延床面積は約12万平方メートル。道の駅というコンセプト通り、歩行者デッキの下には交通広場を設ける。環状2号を通って、虎ノ門・新橋方面から東京BRT(バス高速輸送システム)が乗り入れ、羽田空港・成田空港への直通高速バス、タクシー、シェアサイクル、パーソナルモビリティ、さらには自動運転車まで、さまざまなモビリティが、この広場を基点に発着する構想を描く。晴海運河沿いに船着き場を設ける計画もあり、海上ルートからの集客も狙う。

 デッキ上では、スタートアップのMellow(メロウ、東京・千代田)がフードトラックを活用した移動型店舗「SHOP STOP」を展開する予定だ。豊洲市場とうまく連携できれば、一帯はさながら「食のテーマパーク」になりそうだ。この他、交通、防災情報を表示するデジタルサイネージや音声案内アプリも導入する。

歩行者デッキのイメージ。フードトラックを使った移動店舗でにぎわいを呼び込む
歩行者デッキのイメージ。フードトラックを使った移動店舗でにぎわいを呼び込む

「デジタルゼネコン」に進化する

 清水建設は豊洲で何を目指すのか。20年4月に立ち上がった豊洲スマートシティ推進室の宮田幹士室長は「テスラのような街をつくりたい」と語る。

清水建設豊洲スマートシティ推進室長の宮田幹士氏
清水建設豊洲スマートシティ推進室長の宮田幹士氏

 テスラのEVは、ソフトウエアを更新することで、購入後も新たな機能が追加されていく。「街も同じで、基幹システムをアップデートしていけば、昨日までできなかったことが、できるようになっていく。我々はこれまで鉄とコンクリートの建物を世の中に提供してきたが、これからはデジタルで街づくりをする『デジタルゼネコン』に進化していきたい」(宮田氏)。

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