
元ヤフー社長の宮坂学氏が2019年9月に東京都副知事に就任してから、ちょうど1年。東京都はDX(デジタルトランスフォーメーション)で都民生活を大きく変革し、QOLを向上させる「スマート東京」の実現に向け、爆速で突き進んできた。宮坂氏は、今何を語るのか。
「スマート東京実施戦略」で示された3つの柱の筆頭に、「『電波の道』で『つながる東京』(TOKYO Data Highway)」があります。かねがね「東京で世界最高のモバイルインターネットを実現する」と発言されていますね。
宮坂学氏(以下、宮坂氏) 行政は、あるべき都市インフラを考えるのが、重要な役割の1つ。水道しかり、都道しかりですが、この20年くらいで重要な都市インフラになったのが、モバイルインターネットです。初期の頃は一部の人だけのものでしたが、今はすべての人のライフラインになっている。だから、水道や都道と同じような位置づけで、21世紀の都市の基幹インフラとして5Gなどの高速モバイルインターネットが「いつでも、誰でも、どこでも」、たとえ災害時であってもきちんとつながる状態にする。これはデジタルの力で東京のポテンシャルを引き出す、スマート東京を進める上ですべてのベースとなります。
19年7月に私が東京都参与に就任してから約2カ月弱でまとめたTOKYO Data Highway構想では、通信キャリアが5Gなどの基地局設置を進めやすいよう、都道や公園、バス停、地下鉄出入り口など都が保有するアセットをデータベース化し、開放する取り組みを進めています。都としては場所の提供でお金のかかる話ではないですし、もともと都民からお預かりしている行政のアセットを活用し、高速モバイルインターネットが整備されれば、その恩恵をしっかりと都民に還元することができます。
スマートシティに向けた取り組みが世界で進む中で、現代は「都市間競争の時代」と捉えることもできます。東京都は2020年を「スマート東京元年」とし、急速に変わりつつありますが、そこには出遅れてはいけないという危機感があるのでしょうか。
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