あらゆる都市機能のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を通じた新たなまちづくり、スマートシティ、スーパーシティの取り組みを追う特集の第3回。今回は、新たな都市の要となるモビリティについて、米国で進むデータ駆動型の取り組みを紹介する。計量計画研究所理事の牧村和彦氏によるリポート。

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電動キックボードシェアリングサービスのLime(ライム)。米国ではMDS(Mobility Data Specification、モビリティデータ仕様)と呼ばれる官民連携のデータ仕様の下、次世代の交通まちづくりが始まっている(写真/Shutterstock)
電動キックボードシェアリングサービスのLime(ライム)。米国ではMDS(Mobility Data Specification、モビリティデータ仕様)と呼ばれる官民連携のデータ仕様の下、次世代の交通まちづくりが始まっている(写真/Shutterstock)

 スマートシティ、スーパーシティの実現に向けては、まちづくりとモビリティサービスとの連携が大きなトピックスとなる。今後、民間が主体で進めている都市開発や商業開発などのまちづくりの中に、スタートアップを含めたモビリティサービスを手掛けている企業が連携し、一体で次世代のまちづくりを推進していくことが主流となるのは確実だ。

 すでに品川駅周辺の再開発や、羽田イノベーションシティ、トヨタ自動車による東富士のWoven City(ウーブン・シティ)構想などでは、新しいモビリティサービスを前提とした都市開発が進められている。こうした取り組みは、特定の街区や民有地などのエリアから、既存の市街地など面的なエリアへと徐々に拡大していくと考えられ、その場合には、一層、官民のデータ連携が重要になってくる。

 新しい移動サービスの利用実態や安全性、労働環境や他の交通手段への影響など、不透明なインパクトについては、データを通して官民で共有しながら、関係事業者双方がコミュニケーションしながら利害を調整し、サービスを改善していくことが今後求められる。

 日本でもモビリティ革命が本格的に到来した際には、そのスピード感と都市開発のスピード感に大きなギャップが生じるだろう。アジャイルに新しい取り組みを進めながら、同時並行して、新しいモビリティサービスなどが及ぼす影響を行政側でモニタリングし、民間投資や新しい技術開発を誘導しながら、モビリティ革命と都市開発のスピードを調整していく役割が重要となる。

新モビリティ導入効果をデータで評価

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