
仕事用に整えられた職場とは違い、自宅は仕事をこなすのに不便な面も多い。特集最終回では、新型コロナウイルス感染症の影響で急速に拡大した在宅ワークを、より快適にしてくれるお役立ちグッズを紹介する。
クッション・ピローメーカーのジスクリエーション(名古屋市)が販売する「ISUZABU(イスザブ)」は、整体師のアドバイスに基づいて開発した「進化した座布団」だ。座るだけで姿勢を正しく導いてくれ、長時間の座り仕事にも向いている。
イスザブは、2019年11月18日~12月10日にクラウドファンディングを行い、目標金額30万円のところ、約240万円を達成した。19年12月20日に一般販売を開始し、20年3月までは月10個ほどの販売実績だった。しかし、在宅ワークで需要が急増し、20年5月には月間約100個に。さらにメディア掲載をきっかけに知名度を上げ、20年6月は約500個を売り上げたという。
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イスザブの人気の理由の1つに、「気持ち良さ」がある。体への負荷を減らす姿勢は、背骨が緩やかなS字カーブを描いた状態だとされている。イスザブには、高さ45センチメートル程度の背もたれが付いている。それを折り曲げて使用することで、背骨のS字カーブを自然にキープできるようにしている。さらに、座面をフラットにすることで座骨を安定させ、S字カーブの土台となる姿勢をつくっているのだという。
「イスザブのデザインは、当社の代表でもあり、デザイナー兼クリエイティブディレクターの中濱淳が手掛けた。『座るために良いものを作りたい』という思いは、デザイナーの頭の中に常にあったこと。19年の初頭に座布団職人と仕事をする機会があり、そこで出合った座布団の座り心地に感銘を受けた。それがプロジェクトのきっかけとなり、約半年間の試行錯誤の末、19年秋に完成した」(ジスクリエーションのライフスタイルデザイン部、安達瑞希氏)
イスザブと同様、長時間のデスクワークにぴったりな「jimu fab(ジムファブ)」シリーズも人気だ。クッションの後ろに傾斜を付けて骨盤を起こし、猫背を防止する「ジムファブ 美姿勢サポートクッション」や、キーボードを打つ手首を支える「ジムファブ アームレスト キーボード」などがある。通常のオフィスクッションには無地や黒色のものが多いが、ジムファブの場合は鮮やかな北欧柄を売りにしている。
「ネットショップでは、新型コロナ禍で家族や友人へのプレゼントとして注文する方も多かった。気持ちが暗くなる時期だからこそ、明るい柄が目に留まったのかもしれない」(安達氏)
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