アフターコロナ働き方&オフィス改革

大和ハウスグループのコスモスイニシア(東京・港)が、在宅勤務用の新しいスペースを備えたマンションを開発した。2つのタイプがあり、「コモリワーク」「ドマワーク」と呼んでいる。開発に当たっては、デザイン思考の手法を使ったリコーの「価値創出プログラム」を活用した。2020年4月に発売したところ、すぐに売れたという。

「コモリワーク」は、リビング・ダイニングに隣接している中2階のような空間で、下部は収納スペースになっている(写真/丸毛 透)
「コモリワーク」は、リビング・ダイニングに隣接している中2階のような空間で、下部は収納スペースになっている(写真/丸毛 透)

 コスモスイニシアは新型コロナウイルス感染症の拡大以前の2019年から開発プロジェクトを推進してきたという。テレワークの普及を見越し、今後の居住空間や働き方を模索。そこでリコーの共創施設「RICOH BUSINESS INNOVATION LOUNGE Tokyo」を訪ねた。デザイン思考の活用は初めての経験だったが、両社でテレワークを既に実施している人にインタビューしたり、プロジェクトメンバーでワークショップを行ったりした結果、「自宅とオフィスの中間に相当するような新しいエリアが必要ではないか」という気づきが生まれた。

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 さらにディスカッションを続け、「家の中で仕事に集中する」と「仕事以外の空気に触れ、気分転換や着想を得る」という、2つの要素を両立させるマンションを発想。それがコモリワークとドマワークにつながった。いずれも仕事と家族を完全に遮断するのではなく、境界を曖昧にして仕事と家族のつながりを重視しようとした。

両社でデザイン思考のワークショップを行ったところ、15個のアイデアが出た。このうち2つを今回、採用した(写真提供/リコー)
両社でデザイン思考のワークショップを行ったところ、15個のアイデアが出た。このうち2つを今回、採用した(写真提供/リコー)

 コモリワークとドマワークのコンセプトでリノベーションした2つのマンションは、3月に完成。ドマワークを組み込んだ東京・晴海のマンションは販売開始後、すぐに売れた。コモリワークを用いている東京・西早稲田のマンションも、注目されているという。

仕事に向かう意欲をいかに高めるか

 コモリワークは“家の中に籠もれる空間がある”がコンセプト。西早稲田のマンションは2LDK+Sで、コモリワークはリビング・ダイニングの隣にある洋室の一画。いわば中2階のような小部屋だ。

 数段の階段で上がり、約0.8畳と横になれる広さ。下部は収納スペースとして使用できる。扉はないので、住む場所と仕事をする場所の境界は低い。家族と程よい距離感を保ちながらも、集中して仕事に向かうことができそうだ。ガラス窓があるため、家族の様子を見ることができるし、リコーの超短焦点プロジェクターを購入すればパソコン画面を投影して仕事をすることも可能という。

窓ガラスがあり、リコーの超短焦点プロジェクターを使うことでパソコン画面を投影できる(写真/丸毛 透)
窓ガラスがあり、リコーの超短焦点プロジェクターを使うことでパソコン画面を投影できる(写真/丸毛 透)

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