
コロナ禍によってホテルの稼働率は大きく落ち込んだ。そこでJTBは2020年8月31日、ホテルの遊休スぺースをシェアオフィスとして活用し、企業とホテルのニーズをマッチングするサービスを開始した。日中のホテルの客室や宴会場といった遊休スペースを活用、テレワーク場所として企業に提供する。
新型コロナウイルスの感染症対策のため、日本各地に緊急事態宣言が出された2020年4月以降、外出の自粛が要請され、半ばなし崩し的にリモートワークに踏み切ることになった人も多かっただろう。態勢が整っていない当初は混乱もあったものの、働く人も企業も次第に利点が大きいことに気づき始めた。通勤にかかっていた時間が丸ごと有効活用でき、雑事に煩わされないので効率が上がるなど、「もう出勤したくない」「もっとリモートワークの比率を高めよう」と、日本全体としてはオンライン化とリモートワークへの移行が加速しているように見える。富士通のように、リモートワークを通常の勤務形態としてオフィス面積を半減させ、通勤定期券代の支給を廃止する企業まで現れた。
一方で、オンとオフの切り替えがしにくく働き過ぎてしまうリモートワーク疲れや、管理する側からは勤怠管理・評価が難しいといった問題点も指摘されている。中でも大きな問題は、家庭で仕事に必要なスペースや時間をどう確保するか、あるいはどう家族とシェアし合うかではないだろうか。
【第13回】 内田洋行が掲げるコロナ後のオフィス像 変化が5~10年前倒しに
【第14回】 オカムラが掲げるコロナ後のオフィス像 実験的なオフィス続々
【第15回】 三井デザインテックに聞く コロナ後のオフィスの2つの機能とは
【第16回】 ゲンスラーが描くコロナ後のオフィス像 必要なのは空間より体験
【第17回】 JTBがコロナ対策で新事業 ホテルの遊休スペースを企業に提供 ←今回はココ
個室を確保できずリビングで仕事をすると、電話やテレビ会議に家族の声や姿が入ったり、業務上の会話が筒抜けになったり、逆に個室に籠もろうとしても子供に邪魔をされたりと、それぞれの家庭の事情で多様な問題が起こり得る。そのため、大企業には社員が共同利用できるサテライトオフィスやシェアオフィスを各地域に設置する動きもある。しかしコストもかかるため、それができるのは大手企業の一部に限られるだろう。
企業とホテル、両者にメリットが
そこでJTBが始めたのが、ホテルの遊休スぺースをシェアオフィスとして活用し、企業とホテルのニーズをマッチングするサービスだ。
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー