アフターコロナ働き方&オフィス改革

三井不動産は日本橋室町三井タワーへの本社部門の移転を、2020年春までに完了した。新オフィスのコンセプトは、人と情報が交差し、イノベーションを生み出す「CROSSING(クロッシング)」だ。働く場所を柔軟に選べるアクティビティー・ベースド・ワーキング(ABW)で社員の満足度が高まっているという。

新オフィスは「2020年度 第33回日経ニューオフィス賞」のクリエイティブ・オフィス賞を受賞。オフィスデザインは三井デザインテックが手掛けた。開放的な空間にした「CROSSING Lounge」と呼ぶ場。外部とも気軽に交流できる(写真/丸毛 透)
新オフィスは「2020年度 第33回日経ニューオフィス賞」のクリエイティブ・オフィス賞を受賞。オフィスデザインは三井デザインテックが手掛けた。開放的な空間にした「CROSSING Lounge」と呼ぶ場。外部とも気軽に交流できる(写真/丸毛 透)

 三井不動産総務部総務グループの斎藤貴夫統括は移転の狙いを、「社員が行き交う空間をつくり、オープンなディスカッションやコミュニケーションを促すことで当社が創業以来持っていたDNAを呼び覚まし、新しい発想やイノベーションを生み出せるようにした」と語る。元来、同社は社内の風通しがよく、自由でチャレンジ精神にあふれていたという。しかしオフィスが分散していたこともあって、いつの間にかそれぞれの部門間に壁が生まれ、弊害が見られるようになっていた。

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 壁を取り払うため、新オフィスでは働く場所を柔軟に選べるアクティビティー・ベースド・ワーキング(ABW)と呼ぶ考え方を導入。大半の社員をフリーアドレスにして、どこでも仕事ができるようにした。社員はオフィス内を広く使うことができ、他の社員とのコミュニケーションを促すようにした。

執務室は各部門が一体化している。これまでは事務用の机や椅子が中心だったが、広々とした空間には仕切りもない(写真/丸毛 透)
執務室は各部門が一体化している。これまでは事務用の机や椅子が中心だったが、広々とした空間には仕切りもない(写真/丸毛 透)

 快適に過ごすための仕掛けもつくった。まず、8階から12階までの5フロアを結ぶ内部階段を設けた。これによって、社員がタテ・ヨコに動きやすくなるという。人の流れが促進され、社員同士が偶発的に出会ってコミュニケーションが生まれることを期待している。

内部階段の付近にあるエリア。社員が偶発的に出会う場であり、静かに仕事ができる場でもある(写真/丸毛 透)
内部階段の付近にあるエリア。社員が偶発的に出会う場であり、静かに仕事ができる場でもある(写真/丸毛 透)
「CROSSING Park」では、イベントなどが行える。フロアを越えた出会いの場だ(写真提供/三井不動産)
「CROSSING Park」では、イベントなどが行える。フロアを越えた出会いの場だ(写真提供/三井不動産)

 一画にはラウンジやカフェを設けており、飲食しながら仕事をすることができる。心身を健康に保ちリフレッシュするため、フロアごとに壁の色や質感、照明、環境音、香りなどを変え、五感に働き掛けるようにした。

カフェの“コミュニケーションビルダー”は、イベントを企画するなど社員を結び付ける役割も担う
カフェの“コミュニケーションビルダー”は、イベントを企画するなど社員を結び付ける役割も担う

 ハード面を充実させただけでは、社員同士の交流が進むとは限らない。そこでソフト面の仕掛けも用意した。ビルディング本部業務推進室業務推進グループの赤木諒子主事は、「カフェに“コミュニケーションビルダー”を配置し、社員と一緒にイベントを企画したり、社員同士を結び付けるプランを定期的に行ったりしている」と、その仕掛けを説明する。コミュニケーションビルダーはカフェのスタッフの1人。社員同士が自然に集まるカフェを中心に、社員同士のコミュニケーションを活性化しようとした。

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