アフターコロナ働き方&オフィス改革

国内外のオフィスデザインに詳しいコクヨ ワークスタイル研究所所長の山下正太郎氏は、「アフターコロナ時代は、魅力的なオフィスでなければ行く意味を見いだせない」と言う。単に集まって働く場所としてではなく、企業文化や信頼関係の構築に、オフィスがどのように貢献するかが重要になってくる。

山下 正太郎 氏
コクヨ ワークスタイル研究所所長、WORKSIGHT編集長
京都工芸繊維大学特任准教授。ニュースレター「MeThreee」発行人。成熟企業のワークスタイルに関するコンサルタント/研究者。複数の担当企業が日経ニューオフィス賞受賞。2016~17年、英ロイヤル・カレッジ・オブ・アート客員研究員。著書に「オフィスビル2030」(共著)など

前回(第3回)はこちら

withコロナ、アフターコロナのオフィスはどのように変わっていくのでしょうか?

その前に、新型コロナ以前、ビフォアコロナのオフィス観を振り返ってみると、大きく2つのトレンドがありました。1つは、より働きやすい環境を追求する「Activity Based Working(アクティビティー・ベースド・ワーキング:ABW)型」。いつ、どこで働いてもいいABW型は、まだ働く場所をオフィス内に限定していたフリーアドレスなどのフレキシビリティーを、さらに前進させた働き方といえます。

 新型コロナ以前に、コクヨのワークスタイルメディア「WORKSIGHT」の取材で訪れたオーストラリアのメルボルンにあるナショナル・オーストラリア・バンクのように、社内のどこで働いてもいいし、出社せずに家で働いてもいいというオフィスが登場していました。ただ、ABWは、空気を読んで忖度(そんたく)しながら働く、そもそも分散型ワークに向いていない日本の労働文化に取り入れるのが難しいという課題がありました。

もう1つのトレンドは?

ABWの正反対ともいえる、新しい価値を生み出すための「イノベーション型」です。この分野の先進国は米国で、サンフランシスコのテックカンパニーでは、オフィスで食事が出て、ジムがあって、手厚いサービスを用意して、ワーカーになるべく長く滞在するよう促します。そうやってコミュニケーション機会を確保することで、イノベーションにつなげるというワークスタイルでした。何もなくても自発的にオフィスに集まってくる日本のワーカーは、実は文化的にはイノベーション型のほうが親和性があります。

オフィスの新型コロナ対策とは?

ワクチンが浸透するまで、あるいは社会が集団免疫を獲得するまでをwithコロナとすると、対策としては、在宅勤務などを活用して、ソーシャルディスタンスを保つこと。これに尽きると思います。

働く環境を考えるワークスタイル戦略情報メディア「WORKSIGHT」
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