国連の幸福度ランキングで3年連続「世界一」の国、フィンランド。『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』の著者である堀内都喜子氏と共に新たな在宅勤務の在り方について考えていくこの連載。第3回は在宅勤務中の時間管理。特にテレワーク中の長時間労働はどのように対処すればいいのか。
【第2回】 在宅勤務中のコミュ不全 フィンランドではどう解消しているか
【第3回】 午後4時に仕事終了のフィンランド 在宅で長時間労働を防ぐには←今回はココ
【第4回】 男性にとって「都合のいい女性」は過去 男女平等が会社の利益に
【第5回】 「世界一幸福」なフィンランドだって、現在は試行錯誤中
在宅勤務で長時間労働をしないための工夫
フィンランドでは、新型コロナウイルスの感染拡大前から3割の人が在宅勤務。在宅勤務中の労働時間の管理は、どのように行っているのでしょうか?
オンライン上のタイムカードで管理している。
堀内都喜子氏(以下、堀内) パソコンを立ち上げて、オンライン上のシステムでポチっと押すと、出勤したことになる。終わったときにも同じようにする。すると働いた時間が自動で計算される。オフィスに出勤して働いていた頃も、職場のパソコンを立ち上げて、同じ仕組みで管理していた。携帯電話やスマートフォンから管理できる会社もある。従って労働時間の管理については、在宅勤務だからといって特に変化はない。
ちなみにEU(欧州連合)の統計を見ると、新型コロナウイルスの感染拡大後に「勤務時間が変わらなかった」と答えた人が多かったのが、1番はスウェーデン。そして2番がフィンランドだった。
日本ではタイムカードのあるなしにかかわらず、残業が常態化しています。オンライン上で労働時間を管理する利点は何でしょうか?
残業した時間は、他のところで休むようにしている。
堀内 1日7~8時間働くと決まっていると思うが、もし決まった時間以上に働いた場合、超過した時間が蓄積されていく。しかも、ざっくりではなく1分単位できっちり計算される。私たちはその超過した時間の蓄積を「サルド」と呼んでいる。管理画面に「今のあなたのサルドは○時間」と表示されるようになっている。日によって遅く仕事を始めたり、早めに切り上げたりして、1カ月の間にサルドを「ゼロ」にするのが理想。もしゼロにできなかったら、次の月に持ち越しされる。
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