新型コロナの影響で、自宅で使う嗜好品についても、サブスクリプション型(定額制)のサービスが浸透してきている。絵画をレンタルし、定期的に入れ替えられる「Casie」はその筆頭。他に、筋トレ用品、玩具、花などに注目が集まっている。

※日経トレンディ2020年8月号の記事を再構成

さまざまな絵画を安価にレンタルできるサービスが好調
さまざまな絵画を安価にレンタルできるサービスが好調

 サブスクリプションサービスといえば、動画配信サービスや食品などを定期的に購入するという業態が先行している。だが2020年は、外出自粛の影響で家の環境を快適にしたいという需要が高まり、家で使う嗜好品においても、サブスク型の買い物の形が普及し始めた。

 コロナ禍での新たな需要を喚起したのが、絵画のサブスクサービス「Casie」だ。初心者が絵を購入するのはハードルが高いが、本物の原画を気軽に安く試すことができる。

絵画のサブスクサービス「Casie」
絵画のサブスクサービス「Casie」
プランによって様々な大きさの絵を試すことができる

 月額1980円(税別)から3つのプランがあり、金額によって絵のサイズが異なる。作品は約7000点あり、サイズや色合い、ジャンル、部屋のテイストなどで絞り込むことが可能だ。既に貸し出し中の絵には、「RENTED」のマークが付いている。作品決めに悩んだら、LINEチャットで部屋の雰囲気や家族構成、好きな洋服のジャンルなどを伝えるだけで、プロから自分に合う1枚を提案してもらえる。

 交換は毎月1回(手数料別)することができるが、季節ごとに1回程度替えるユーザーが多いという。最初に飾る絵として写実性の高い動物の絵や風景画を選んだ人に、「2回目以降は抽象画にしてみたら」といった、アドバイスをくれるのもうれしい。

レンタルした絵画を飾ってみた。絵画の存在感で、部屋の雰囲気が変わる
レンタルした絵画を飾ってみた。絵画の存在感で、部屋の雰囲気が変わる

 需要を押し上げたのが、コロナ禍で自宅でのビデオ会議が普及したことだ。Casie社長の藤本翔氏は「画面の背景にさりげなく絵が飾られていると自分の好みを表現できるので、特に男性からの問い合わせが多かった」と語る。女性で目立つのは「部屋の模様替えに使用したい」という声。自宅に絵を飾って“インスタ映え”する投稿をしようと、クチコミでECサイトを訪れる人が急増した。

 ユーザー数は3~4月にかけて4倍になり、作品の発送が間に合わず、企業広告を止めるほどだった。「イケアなどの北欧系インテリアに合う明るい抽象画の相談が多い。9月ごろから、著名な作家やキャラクターの作品を取り扱う計画も進めている」と、藤本氏は意気込む。

Zoomの背景に映せば、会議や飲み会などでちょっとした話題になることも
Zoomの背景に映せば、会議や飲み会などでちょっとした話題になることも
Casieのトップページからはレンタル作品を調べたり、絵の選び方を勉強したりできる(クリックすると「Casie」のホームページを表示します)
Casieのトップページからはレンタル作品を調べたり、絵の選び方を勉強したりできる(クリックすると「Casie」のホームページを表示します)

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