マーケティング分野で活躍する仕事人10人がお薦めの本を紹介する本企画。今回はキリンビール事業創造部エグゼクティブ・フェローの和田徹氏と、顧客時間共同CEOの奥谷孝司氏がそれぞれ3冊を厳選した。アフターコロナ時代にこそ必要な「考え方」のヒントを得られる本が並んだ。

【この記事で紹介する書籍】
『なぜ、それでも会社は変われないのか 危機を突破する最強の「経営チーム」』
『はじめて考えるときのように 「わかる」ための哲学的道案内』
『日本文化の核心 「ジャパン・スタイル」を読み解く』
『それでも人生にイエスと言う』
『君たちはどう生きるか』
『ミライの授業』

前回(第2回)はこちら

和田徹氏、お薦めの3冊


キリンビール 事業創造部 エグゼクティブ・フェロー 兼 スプリングバレーブルワリー 顧問/ファウンダー
1961年生まれ。85年、慶応義塾大学経済学部卒業、キリン・シーグラム入社。89年、マーケティング部新商品開発グループにて国内外ウイスキー、スピリッツの商品開発。97年、キリンビールのマーケティング部 商品開発研究所で「麒麟淡麗<生>」開発、ブランドマネジメント。2000年から「キリン氷結」ほか、「杏露酒」「キリンフリー」など開発プロジェクトリーダーを担当。09年、キリンディアジオで「ギネス」ブランドディレクター。11年、キリンビールの商品開発研究所リーダーとして「ハードシードル」「スプリングバレーブルワリー」プロジェクトをスタートし、15年にスプリングバレーブルワリー社長に就任。18年10月より社長交代し、同社の顧問/ファウンダーとして引き続き兼務しつつ、キリンビールのマーケティング部に復職し、次なる新規プラットフォーム構築へのチャレンジを鋭意画策中。20年4月より現職
詳しいプロフィル


カルチャー変革について新鮮な視座を得る

『なぜ、それでも会社は変われないのか 危機を突破する最強の「経営チーム」』
柴田昌治/日本経済新聞出版、2020年
1600円(税別)

 「なぜ、画期的なアイディアやイノベーションが生まれないのか。なぜ、意思決定や実行スピードが致命的なほど遅いのか。なぜ、優秀な人材が、あきらめ人材になってしまうのか」

 「組織を『思考停止』状態に追い込む<調整文化>を脱却し、<挑戦文化>に舵(かじ)を切るため」のカルチャー変革について新鮮な視座を得ることができた1冊。

「考えること」のヒントと示唆を得られる永遠の良書

『はじめて考えるときのように 「わかる」ための哲学的道案内』
野矢茂樹(文)、植田真(絵)/PHP研究所、2001年(文庫は2004年)
1550円(税別)、文庫は619円(税別)

 20年近く前に出版された“哲学書”だが、今まさに必要とされる「考えること」「問いを立てること」について、老若男女問わず多くの現代人がヒントと示唆を得られる、永遠の良書だと感じた。

 「考える技術」として著者が重要視している、(1)問題そのものを問う(2)論理を有効に使う(3)ことばを鍛える(4)頭の外へ、などの要素が、小学生でも理解できるであろう読みやすい文章と分かりやすい例示で書かれており、植田真氏のイラストとともにスーッと染み込んでくる。

 これからの夏休み、涼しい木陰のベンチを見つけてのんびり読みたいおしゃれな1冊。

日本の深い魅力を解読

『日本文化の核心 「ジャパン・スタイル」を読み解く』
松岡正剛/講談社、2020年
1000円(税別)

 「お米のこと、客神、仮名の役割、神仏習合の秘密、『すさび』や『粋』の感覚のこと、『まねび』と日本の教育……断言しますが、日本文化はハイコンテキストで、一見、わかりにくいと見える文脈や表現にこそ真骨頂があるのです」(「はじめに」より)

 言わずと知れた「知の巨人」、編集工学研究所所長の松岡正剛氏の著書。『感ビジネス 千夜千冊エディション』(KADOKAWA)や『編集力 千夜千冊エディション』(KADOKAWA)などの著書ももちろん素晴らしいが、この1冊は、「わび・さび」「数奇」「まねび」……この国の深い魅力を解読する松岡日本論の集大成との評価もあるようだ。

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