化粧品大手のオルビスが通販向けの出荷ラインに、330台もの小型AGV(無人搬送車)を導入した。1台1台をプログラミングで動かし、作業工程の大部分を自動化。1時間当たりの出荷数を従来比で3割引き上げる。物流危機が続く中で配送遅延を減らすには、バックエンドでのロボット活用が欠かせない。一方で化粧品ブランドだけに人肌の温もりが伝わる工夫も必要だ。機械化と人肌の両立を目指す舞台裏に迫った。
ロボット掃除機にかごを載せたいでたちの小型AGVが、縦横無尽に駆け回る。その数、なんと330台。2020年8月17日、埼玉県加須市にあるオルビス東日本流通センターで通販専用の新たな出荷ラインが稼働した。
1回の注文につき1台のAGVを割り当て、互いにぶつからないように自律走行して商品を運ぶ仕組みだ。管理室の制御システムから1台1台に指示を送り、コース上に埋め込んだRFIDタグで現在地を確認しながら、隊列を組んで走行する。途中で電池の残量が減れば、自動的に充電ドックに接続して“エネルギー”を補給。間髪入れずに決められたコースを走り続けるため、眺めているだけで、商品がどんどん運ばれていく。
AGVは注文が入ったら動き出し、まずはその商品がある棚の真横まで自走する。そこでいったん停止すると、待ち構えていた作業員が棚から商品を取り出し、かごに入れる。商品が格納されている場所にはランプが点灯するため、迷うことはない。ボタンを押すとAGVは再起動し、周回コースをさらにぐるりと半周する。ゴール地点ではやはり作業員が待機しており、かごから商品を取り出して箱に詰める。最後は封函ロボットが箱の大きさを器用に見分けて素早く密封し、行き先別に自動仕分けされて出荷を待つばかりとなる。
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