「生身」から脱却? ロボ接客新時代

今、日本で最も多種多様なロボットが稼働している公共の場。それが高輪ゲートウェイ駅だ。2020年3月14日、JR山手線で49年ぶりに誕生した新駅はさながら実験場。24年度には駅周辺の4街区に及ぶ広大な街が開かれ、ロボットは駅から街へと繰り出していく。ロボットと人が共生する最前線の現状と課題を追った。

(左上から時計回りに)話しかけると道案内するコミュニケーションロボット、手荷物搬送ロボット、お菓子を運ぶ棚型ロボット、“表情”が見える警備・消毒ロボット。JR高輪ゲートウェイ駅では多くのロボットが稼働中(左上のみShutterstock)
(左上から時計回りに)話しかけると道案内するコミュニケーションロボット、手荷物搬送ロボット、お菓子を運ぶ棚型ロボット、“表情”が見える警備・消毒ロボット。JR高輪ゲートウェイ駅では多くのロボットが稼働中(左上のみShutterstock)

 折り紙状の大屋根で覆われた吹き抜け空間に、列車が勢いよく滑り込む。開業から5カ月たったJR高輪ゲートウェイ駅は今、ロボットの実験場になっている。コンセプトは「未来の駅」。まだ新しい駅だからこそ、JR東日本グループとして、とにかく新しいことを始める場所にしようと決めた。駅のサービスにロボットを組み込むことで業務はどう変わるのか、利便性は向上するのかを見定める。ここで得られた成果は、他の駅にも展開していくつもりだ。

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 案内ロボットがトイレやスターバックスコーヒーの場所を教えてくれる。夜になると、センサーや3Dカメラを搭載した警備や清掃・消毒ロボットが障害物を巧みによけながら、コンコースやホームを行き交う。

 非営業エリアでは、搬送ロボットがスーツケースやコーヒーなどを積んで技量を磨いていた。棚を開けると菓子を取り出せる「動くキオスク」的なロボットも“生息”。駅全体をフィールドに見立てて実に多彩なロボットが日夜働いている。

 実は、案内ロボットだけで4種類ある。その見た目や形状はさまざまだ。日立製作所が開発した「EMIEW3(エミュースリー)」という人型から、駅員や美少女キャラクターを映し出すデジタルサイネージ併設型まで、AI(人工知能)を組み込んだロボットが随所に設置されている。どれも日本語、英語、中国語、韓国語の4カ国語が話せるマルチリンガルで、AIを搭載しているため、案内すればするほど、賢くなっていく。よく聞かれる場所はインプットされ、スムーズに案内できるようになっていく。

「AIさくらさん」は制服を着て駅員風に。様々な見た目を試すことで、どのタイプが利用者に受け入れられるかを試している
「AIさくらさん」は制服を着て駅員風に。様々な見た目を試すことで、どのタイプが利用者に受け入れられるかを試している

 この案内ロボットの導入に先立ち、JR東日本は18年から2年間、都内の主要駅で実験を重ねてきた。結果、見えてきたのは「ロボットがそこにあるということをきちんと伝える工夫が欠かせないということ。いくら高機能なロボットを案内用に置いておいても、使っていただけないと意味がない。そもそも話しかけられるには、フレンドリーなロボットじゃないといけない」。JR東日本技術イノベーション推進本部データストラテジー部門の佐藤勲部長はこう振り返る。

目指すは、駅員との役割分担

 ロボットに関心を示すのは、親子連れやお年寄りが多いという。「頭がよければいいという問題じゃなくて、ロボットが人に受け入れられるには、かわいらしさや癒やしというものが、重要だと分かってきた」(佐藤氏)。

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