混雑データが変える人流 街の「密」を丸ごと可視化(画像)

新型コロナウイルス感染症が拡大する中、データとしての価値が以前より急速に高まっているのが、商業施設や飲食店などの混雑情報だ。このニッチな分野に特化し、プラットフォーム構築を急いできたのが、混雑情報サービスのバカン(東京・千代田)。街ぐるみで混雑データを可視化する動きも出てきている。

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カフェやレストランなどのリアルタイムの混雑情報を確認できるポータルサイト「VACAN(バカン)」のイメージ
カフェやレストランなどのリアルタイムの混雑情報を確認できるポータルサイト「VACAN(バカン)」のイメージ

 商業施設でトイレに駆け込むも個室が満席で、我慢しながら各階のトイレに空きがないか、しらみつぶしに探した。あるいは、ふと食べたくなって立ち寄った飲食店に行列ができており、次のアポまで時間がないから他の店に行くことにした――。

 このような経験を、誰しも一度はしたことがあるのではないだろうか。こうした従来可視化されていなかった混雑情報に特化してリアルタイムデータを収集し、施設のデジタルサイネージやポータルサイトなどに配信しているユニークな企業がバカンだ。導入する施設や飲食店にとっては無駄な待ち時間を減らせるから、訪れる顧客のストレスを軽減できるメリットがあり、また、近い将来の予約ではなく、「今」生じている空席を埋めるのに役立つ。つまり、収益アップの機会を増やせるということだ。

 さらに、新型コロナウイルス感染症のリスクを高める、密閉・密集・密接のいわゆる「3密」状態を回避し、利用者が安心して訪れるための有効な情報発信にもつながる。バカンが収集する混雑データは、withコロナ時代になって一層価値を増したデータの代表格といえる。

 実際、バカンの事業展開は今回のコロナ禍で勢いを増している。同社は2020年5月28日にネットの地図上で飲食店の場所やリアルタイムの空き・混雑情報、新型コロナの対策状況などを確認できるポータルサイト「VACAN(バカン)」をオープン。ユーザーの現在位置から近くの店が空いていれば、10分間席をキープできる機能も搭載している。飲食店を中心とした掲載店はわずか2カ月ほどで一気に400店を突破しており、「スタートから1年後の21年5月には数千店舗が入っている状態にしていく」(バカンの河野剛進社長)という。

手動のボタン型デバイスと、カメラ・センサーによる自動検知のいずれかで混雑情報を吸い上げる
手動のボタン型デバイスと、カメラ・センサーによる自動検知のいずれかで混雑情報を吸い上げる

 バカンの混雑データの収集方法は、主に2つある。1つは、「空」「やや混雑」「満」という3つのボタンがあるデバイスを店舗に置き、スタッフが混雑状況を確認して都度ボタンを押す方式だ。もう1つは、カメラやセンサーといったIoTデバイスを設置し、カメラの場合はAI(人工知能)による画像認識で混雑状況を自動検知するというもの。ビーコンを活用してざっくりとした範囲で捉えた混雑情報に比べて、リアルタイムで情報が反映され、高い精度でピンポイントの情報が得られることが売りだ。店舗側の作業負担が多少ある前者のほうが導入コストは安く、バカンは初期費用3万円に加えて月額利用料2980円、送客手数料200円を徴収するモデルを取る(20年8月までの申し込みで、同10月末まで無料)。

空きトイレの案内で滞在時間がアップ

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