災害が起きたときのために、大量に非常用のレトルト食品や乾パンを備蓄しておくというだけでは不十分だ。いざというときに賞味期限が切れていたり、食べ慣れなくてストレスになってしまったりする。普段の食事で消費しながら備蓄していく「ローリングストック」に注目が集まっている。
※日経トレンディ2020年8月号の記事を再構成
自宅や車中などで避難生活を送る場合、食事の支援は当てにできないと考えて備えると安心だ。過去には車中避難していることが伝わらず、支援物資が手元に届かなったというケースもあったという。そもそも大災害が起こった際には、避難所にいても満足な量の食事が行き渡らない恐れもある。
非常食の備蓄方法として取り入れたいのが、ローリングストックというやり方だ。非常食を買いだめして保管しっぱなしにするのではなく、普段からよく食べるものを多めに買っておき、消費した分はその都度買い足すことで、常に一定の備蓄量を保てる。5年や10年など長期保存できる非常食は割高な場合もある。定期的に買い足す必要はあるが、普段の食事として使うことも考えれば、ローリングストックはコスパも悪くないと言えるだろう。
防災アドバイザーの岡本裕紀子氏は「大規模災害に備える場合には7日間の備蓄が必要」と言う。ただ、ゼロから始めるのはハードルが高いと感じれば、「最初は3日分などから始め、賞味期限の管理や必要な分量を検討することを通じて、ローリングストックの手法に徐々に慣れていくといい」とアドバイスする。
ローリングストックと相性がいい食品には、缶詰やレトルト食品、乾物、甘い菓子が挙げられる。缶詰は酒のアテやおかずの一品としても使えるし、レトルト食品は普段からよく食べているという人が多いだろう。おやつの時間に食べられる乾物や甘い菓子はかさばらず、いざというときポケットに入れて外に持ち出すこともできる。
電気やガスが止まっても、温かい食事が食べられる環境を整えておくとより快適に過ごすことが可能だ。メニューのバラエティーを増やす意味でも、「食品を買っておくだけでなく、食べるときに使う調理器具も考えておくことが重要」(岡本氏)という。例えばインスタントラーメンは水でも麺を戻せるが、火元が使えない中でいつも通りの食事をするにはカセットコンロが必要だ。日清食品の「カップヌードル ローリングストックセット」は、カセットコンロやカセットボンベに加え、鍋や保存水なども付いてくるため、防災食の入門キットになる。
加熱して食べられる防災に向く食品と、水だけでも食べられる食品を紹介する。
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