ネット通販の楽天市場で買い物をする機会が多い人は、「楽天モバイル」や「楽天プレミアムカード」の導入を検討したい。利用料金や年会費がかかるが、どちらも楽天市場のポイント還元率がアップする特典があり、コストパフォーマンスに優れたサービスになり得る。それぞれを利用した場合の損益分岐点について解説する。
楽天モバイル利用時の損益分岐点
楽天グループの携帯電話サービス「楽天モバイル」の契約者であれば、楽天市場における楽天ポイントの還元率を最大で+3%にすることが可能だ。
●楽天モバイルの契約者…+2%
●楽天モバイルの契約者かつダイヤモンド会員…さらに+1%
の内訳で、最大+3%となる。
2022年10月31日までは、楽天市場のSPU(スーパーポイントアッププログラム)による+1%と、Rakuten UN-LIMIT VII(現行の標準的なスマホ料金プラン)の契約者特典による最大+2%の合算で最大+3%。11月1日からはSPUのみによる最大+3%に変更されるが、+3%になる条件は変わらない。
11月からの変更点で注目したいのは、還元上限の引き上げだ。10月までは楽天市場で月10万円(税別)の購入でポイント上乗せ還元の上限に達する仕様だった。それが、11月以降のSPUによる上乗せ還元では、+3%(ダイヤモンド会員)の場合に月23万3400円(同)の購入が上限になるように緩和された。高額の買い物やまとめ買いがしやすくなる、大きな改善点だ。
■10月までのRakuten UN-LIMIT VII契約者特典(最大+2%)
【Rakuten UN-LIMIT VII契約者(ダイヤモンド会員以外)】
ポイント還元+1%/月間獲得上限ポイント数:1000ポイント
→月10万円(税別)の購入で上限到達
【Rakuten UN-LIMIT VII契約者かつダイヤモンド会員】
ポイント還元+2%/月間獲得上限ポイント数:2000ポイント
→月10万円(税別)の購入で上限到達
※これらの他にSPUによる+1%がある
■11月からのSPU(最大+3%)
【Rakuten UN-LIMIT VII契約者(ダイヤモンド会員以外)】
ポイント還元+2%/月間獲得上限ポイント数:6000ポイント
→月30万円(税別)の購入で上限到達
【Rakuten UN-LIMIT VII契約者かつダイヤモンド会員】
ポイント還元+3%/月間獲得上限ポイント数:7000ポイント
→月23万3400円(税別)の購入で上限到達
月4万円以上の買い物をするならメリットあり
楽天市場では、通常100円(税別)の購入に対して1ポイントが付与される(22年4月から、ポイント付与の対象金額が税込みから税別に変更された)。これを踏まえたうえで、損益分岐点を計算してみよう。
楽天モバイルの料金は、月額1078円(税込み)からの従量課金制となっている。データ通信量が月3GBまでは1078円(同)で使え、月3~20GBの場合は2178円(同)、月20GBからは無制限で3278円(同)の設定となっている(その他に、ユニバーサルサービス料と電話リレーサービス料で月2~3円が生じる)。
Rakuten UN-LIMIT Ⅶを契約、かつダイヤモンド会員であれば、楽天市場の還元率が+3%になる。月に3万6000円(税別)の買い物をする場合、+3%による上乗せは1080ポイント。楽天モバイルの最低月額1078円とほぼ同じなので、月当たり3万6000円(同)が損益分岐点となる。
税込みで計算すると、消費税10%の商品なら月3万9600円、軽減税率8%適用なら月3万8880円だ。つまり、楽天市場で毎月コンスタントに約4万円以上の買い物をするのであれば、楽天モバイルを全く使わないとしても契約した方が得になる。他社のスマホをメインに使っている人でも、楽天モバイルをサブ回線として持つメリットがある(データ利用は月3GBまでに抑える)。
ちなみに、ふるさと納税の寄付や、Apple Gift Card、楽券などのデジタルギフトは非課税扱い。買い物にこれらが含まれるなら、損益分岐点は多少下がる。
楽天のダイヤモンド会員になる条件は、「過去6カ月間で楽天ポイントを4000ポイント以上&30回以上獲得、かつ楽天カード保有」となっている。楽天市場のお買い物マラソンや楽天スーパーセールの買いまわりイベントに毎月参加している人なら、自然と達成できる程度の難易度だ。
また楽天モバイル契約者には、もう1つメリットがある。楽天モバイルキャリア決済が使えることだ。これは、ゲームアプリの課金やLINEコイン、YouTube Premium、電子マガジンなどの料金を、楽天モバイル料金の支払いと同じ方法で決済できるサービス(支払い方法をクレジットカードに設定していると利用可能)。この楽天モバイルキャリア決済を月2000円(税込み)以上利用すると、SPUにより楽天市場の還元率が+0.5%になる。Android限定のサービスだが、楽天モバイルの契約でこちらのポイントアップも狙えることは覚えておこう。
還元率2%上乗せの楽天プレミアムカードで得するには
次に、楽天プレミアムカードを楽天市場で利用する場合の損益分岐点を探る。同カードは年会費が1万1000円(税込み)かかるが、SPUにより楽天カード特典分の+1%に加えて、プレミアムカード特典分として+2%がつく。
楽天プレミアムカード利用時の損益分岐点
年会費無料の「楽天カード」(一般カード)と比べた場合、楽天市場での還元率が+2%になるので、年55万円(税別)の買い物をすれば、カード年会費と同等の1万1000ポイントが上乗せで得られる計算だ。月当たりでは約4万6000円(同)、税込みでは月5万円程度。まずはここが損益分岐点になる。
さらに楽天プレミアムカードには、楽天市場におけるメリットが2つある。1つ目は、選べる優待サービスだ。3つの楽天関連サービスから1つを選択でき、ここで楽天市場コースを選ぶ。すると、毎週火・木曜日がプレミアムカードデーとなり、同カードによる購入分が+1%になる。
楽天市場では、毎月0と5のつく日に楽天カード(プレミアムカード含む)で決済すると+2%になるキャンペーンが常時行われている。普段はこちらを優先すべきだが、0と5のつく日とプレミアムカードデーの火・木曜日が重なっている日があれば狙い目になる。
さらに、買いまわりイベント中の0と5のつく日、かつプレミアムカードデーとなれば、まとめ買いの大チャンスだ。年に数回は3つが重複するので、そこで買えば損益分岐点を下げられる。
選べる優待サービスは楽天市場コースの他に、楽天トラベルで+1%になるトラベルコースと、Rakuten TVまたは楽天ブックスで+1%になるエンタメコースがあるが、基本的には楽天市場コースが最もポイントを上乗せしやすいだろう。
楽天プレミアムカードのもう1つのメリットは、誕生月に楽天市場の還元率が+1%になることだ。プレミアムカードデーとも重複が可能。買いまわり中の0と5のつく日に、誕生月とプレミアムカードデーが重なると一段とお得だ。
ちなみに、年会費2200円(税込み)の「楽天ゴールドカード」にも誕生月の+1%特典があるが、楽天プレミアムカードの付与上限月1万ポイントに対し、ゴールドカードは月2000ポイントが上限。チャンスでのまとめ買いを狙うなら、プレミアムカードがやはり有利だ。
まとめると、楽天プレミアムカードを楽天市場で利用する際の損益分岐点としては、年会費と同等の1万1000ポイントが上乗せで得られる年55万円(税別)をまず意識。プレミアムカードデーや誕生月のポイントアップ特典をうまく活用すれば、実際の損益分岐点はさらに低くなる。楽天市場での買い物が月5万円(税込み)程度あるなら、プレミアムカードを持つべきだろう。
以上のように、月4万~5万円(税込み)を上回る金額で楽天市場を継続的に使う人であれば、お得度アップのために楽天モバイルや楽天プレミアムカードは必須の存在となる。自分の普段の利用額を考慮しつつ、導入をそれぞれ検討したい。月5万円以上の買い物をコンスタントにするなら、両方導入するのももちろんありだ。
(画像は各サービスのサイトから)

【最新号のご案内】日経トレンディ 2023年4月号
【巻頭特集】資格・転職・副業の新しい地図
【第2特集】安く買う&高く売る リユース攻略ワザ
【第3特集】即効! 節電グッズ18選
【SPECIAL】櫻井 翔インタビュー
発行・発売日:2023年3月3日
特別定価:750円(紙版、税込み)
■Amazonで購入する