PayPayやd払いといったスマホ決済の仕様やポイント還元の内容は頻繁に変わっている。以前に覚えたお得な使い方が、現在でも正解とは限らない。そこで今回は、利用者の多いPayPay、d払い、au PAY、楽天ペイの4つのサービスについて、最新情報に基づく有利な活用テクニックを解説していく。
PayPay
【PayPayステップで最大1.5%還元】
PayPayの基本還元率は0.5%。利用200円(税込み)につきPayPayポイントが1ポイント付与される。さらにPayPayステップという特典制度があり、月間の使用状況に応じて翌月の還元率が最大1.5%に上昇する。還元率アップの条件は以下の2つだ。
[1]PayPayで1回300円(税込み)以上の支払いを月間30回以上、かつ月間計5万円以上利用⇒0.5%上乗せ
[2]Yahoo!の対象サービスのうち3つ以上を利用⇒0.5%上乗せ
この2つの条件を共に達成すると、翌月は計1%が上乗せされて1.5%還元になる。実は[2]については、2022年6月から条件が緩和されている。従来は条件[1]の月間利用30回以上かつ計5万円以上を達成したうえで、条件[2]およびYahoo!プレミアム会員であること、PayPayアカウントとYahoo! JAPAN IDとを連携していることをすべて満たす必要があった。現在は条件[1]の達成が必須ではなくなったため、条件[2]の対象サービスを普段利用している人にとっては、0.5%の上乗せが容易になった。条件[2]だけをクリアした場合は、1%還元となる。
基本還元の0.5%とPayPayステップによる上乗せには、決済方法の指定がある。PayPay残高での支払い、PayPayアプリを介したPayPayカード(旧Yahoo! JAPANカード含む)での支払い、またはPayPayあと払いが対象となっており、他社のクレジットカードを登録した支払いでは還元対象外になるので注意が要る。
しかし、他社のクレカを登録した支払いにもメリットはある。基本還元の0.5%やPayPayステップによる最大1%の上乗せは取れなくなるが、登録したクレカ側の還元は得られる。1%還元のクレカを登録していれば、PayPayの基本還元率0.5%を上回る。PayPayステップの達成が難しいようなら、他社クレカでPayPayを利用もするのもありだ。
ただし、PayPayのキャンペーンでは、他社クレカによる支払いだとキャンペーン特典の適用外になるケースが多い。適用条件をしっかり確認して、PayPay残高やクレカなどの決済方法を適宜使い分けるのがいい。
【PayPayあと払いを利用】
注目したい決済方法に、PayPayあと払いがある。PayPayカード(旧Yahoo! JAPANカード含む)を持っている人であれば決済方法として設定でき、当月にPayPayあと払いで利用した金額が、翌月27日にカード利用額と合わせて登録口座から引き落とされる仕組みだ。
普段の還元率アップのメリットはないが、PayPayあと払いが有利なキャンペーンが実施されることがある。例えば22年7月1日から8月31日まで実施されている、抽選で最大100%還元が当たる「ペイペイジャンボ」。PayPayあと払いを利用した場合は、支払い1回当たりの抽選回数が増えて、最大2回の抽選ができるダブルチャンスになる。既にPayPayカードを持っている人は、今後のキャンペーンにも期待してPayPayあと払いの利用を検討するといいだろう。
なお、PayPayカードを持っていなくてもPayPayあと払いの利用申し込みができる。これはPayPayカードのバーチャルカードが作成される仕組みだ。この場合、通常のクレカを発行するのと同じように審査があり、信用情報にも載ることになる点には留意したい。
【ソフトバンク・ワイモバイルまとめて支払いでチャージ】
ソフトバンク、ワイモバイルまたはLINEMOの契約者であれば、「ソフトバンク・ワイモバイルまとめて支払い」でPayPay残高にチャージが可能だ。チャージ代金は携帯電話料金と合算して請求されるため、携帯電話料金の支払い元に設定しているクレカの還元を得られる。
チャージしたPayPay残高による支払いなら、基本還元の0.5%やPayPayステップによる最大1%の上乗せも得られ、もちろんキャンペーン特典も適用される。PayPayとクレカの還元を両取りできる最強のチャージ方法といえるだろう。
d払いはdカードとドコモの利用者がより有利に
d払い
【還元の2重取りがやや難しくなった】
d払いの基本還元率は0.5%。利用200円(税込み)につきdポイントが1ポイント付与される。d払いで設定できる決済方法のうち、基本の0.5%還元が受けられるのはd払い残高での支払い、dカードでの支払い、電話料金合算払いの3つ。dポイントを充当した場合や、dカード以外のクレカ登録による支払いは基本還元の対象外となる。
22年5月まではdカード以外のクレカでも基本還元が得られたが、6月から対象外となった。d払いとクレカの還元の2重取りを目当てに、決済方法として他のクレカを利用していた人は設定を見直す必要がある。
dカードを持っていれば、決済方法にdカードを設定することでdカードの還元とd払いの基本還元の両取りが可能だ。dカードの還元率は1%なので、計1.5%還元となる。2重取りができるもう一つの方法は、電話料金合算払いだ。NTTドコモ(ahamo含む)の契約者だけが設定できる。d払いの利用額が携帯電話料金に合算して請求されるので、d払いの利用分に対しても、携帯電話料金の支払い元に設定しているクレカの還元が得られる。クレカの還元率が1%なら、こちらも計1.5%還元だ。
【ドコモ利用者はさらに高還元が狙える】
d払いにも、PayPayステップと似たポイントアップ特典としてd払いステップボーナスがある。ドコモ契約者限定のプログラムとなっており、d払い(コード決済)の月間の決済回数により、翌月の還元率に最大1.5%が上乗せされる。
決済方法にdカードを設定した場合や、電話料金合算払いで還元率1%のクレカを設定した場合であれば、最大3%還元が可能になる。現実的な線である毎月20回の利用でも、計2%と高い還元率を目指せる。
ただし、PayPayステップではオンライン決済などにもポイントアップが適用されるが、d払いステップボーナスの対象は実店舗でのコード決済のみ。ネットの通販や予約・注文サービスはポイントアップの対象外なので気を付けたい。
【モバイルオーダーがお得】
d払いアプリの機能で見逃せないのが、吉野家やすき家、餃子の王将、丸亀製麺などのテークアウト注文ができるモバイルオーダーだ。これを利用すると、還元率に1%の上乗せがある。さらに、d払いでは毎週金曜日と土曜日に「d曜日」というキャンペーン(要エントリー)が実施されており、ネットの対象加盟店でd払いを利用すると3%の上乗せ還元がある。モバイルオーダーは、この対象サービスとなっている。
これらに基本還元の0.5%と、dカードまたは電話料金合算払いに設定したクレカ(1%)の還元を合わせると、5.5%の高還元になる。店舗のレジでコード決済で払うより断然お得なので、対象店舗でテークアウトをする機会があれば、d払いのモバイルオーダーを利用するのが得策だ。
au PAY、楽天ペイはクレカチャージで還元率アップ
au PAY
【クレカ還元との2重取りが容易】
au PAYの決済方法はau PAY残高のみ。いわゆるプリペイド方式で、シンプルで分かりやすい。基本還元は利用200円(税込み)につきPontaポイントが1ポイント付与される。還元率は0.5%だ。
au PAY残高のチャージ方法は色々あるが、基本的にはクレカでチャージしてカード側の還元とau PAYの還元の2重取りを狙うのが賢い選択。クレカの還元率が1%なら、計1.5%還元となる。
チャージが可能なクレカは、国際ブランドがMastercardとアメリカン・エキスプレスなら基本的にどのカードでもOK。Visaブランドはau PAYカード、セゾンカード、UCカード、MUFGカード、DCカード、NICOSカード、TS CUBICカード、エポスカード、楽天カード、ビューカードが対応する。JCBブランドはセゾンカード、TS CUBICカード、楽天カード、ビューカードがチャージ可能だ。
例えばau PAYカードなら、チャージで1%のポイント還元が得られる。au PAYゴールドカード(年会費1万1000円・税込み)でチャージした場合は、ゴールドカード特典の1%が加わり、2%還元となるのでお得度が高い。
ただし、上記のチャージ可能なクレカでも、カード会社によっては還元の対象外としている場合があるので注意が要る。22年7月からは、楽天カードでのau PAYチャージがポイント還元の対象外になった。そうしたクレカ側の改定リスクが常にあることには留意したい。
【プリペイドカードの併用が便利】
スマホ決済のau PAYと残高を共有する「au PAYプリペイドカード」があれば、利用範囲がぐんと広がるのでお薦めだ。Mastarcardブランドの対応店舗で利用できるので、au PAYのコード決済が使えないところでもau PAY残高を消費して買い物ができる。利用時の還元率もau PAYと同じく0.5%だ。
au PAYプリペイドカードの発行には、au携帯電話、UQ mobile携帯電話(5G対応料金プラン)、auひかり回線などの契約があるau ID、またはauじぶん銀行とひも付いたau IDが必要になる。
au PAYの利用で還元されるPontaポイントの価値の高さにも注目したい。ローソンで常時実施されているサービス「お試し引換券」では、例えばPontaポイントを50ポイント利用して108円(税込み)の菓子と交換できるなど、簡単に1ポイント=2円以上の価値に高められる。
また、Pontaポイントはau PAY残高へのチャージも可能(1ポイント=1円)。手数料無料でauじぶん銀行に自動的に払い出せる機能を使えば、Pontaポイントの現金化も可能となる。auじぶん銀行の口座があれば、au PAYプリペイドカードの発行もできる。au PAYをフル活用するために口座開設を検討するといい。
楽天ペイ
【楽天カードがあれば簡単に1.5%還元】
楽天ペイの決済方法は4つ。楽天銀行口座払い、カード払い、ポイント払い、そして楽天キャッシュによるチャージ払いだ。順に解説していこう。
楽天銀行口座払いは、その名の通り楽天銀行の口座残高から支払う方法。楽天ポイントによる還元率は1%だ。
カード払いは、クレカをひも付けて支払う方法。楽天カードの他に、Visa、Mastercard、JCB、アメリカン・エキスプレスなど幅広いブランドのクレカを登録できる。カード払いの場合、楽天ペイによる還元はなく、クレカ側の還元のみが得られる。楽天カードであれば1%還元だ。
ポイント払いは、ためている楽天ポイントを消費して支払う方法。ポイント利用分に対しても1%還元が得られるのがいい点だ。期間限定ポイントも利用できるため、楽天市場などの楽天サービスで大量のポイントを毎月獲得する人には特に便利だ。
そして唯一、1%を超える還元を実現できるのがチャージ払い。楽天キャッシュというオンライン電子マネーをチャージして、その残高を利用して支払う方法だ。チャージ払いでは、楽天ペイで1%の還元が得られる。さらに、楽天キャッシュを楽天カードでチャージすると、チャージ額に対して0.5%の還元も得られるため、計1.5%還元となる。楽天カードを持ってさえいればできる方法なので取り組みやすい。
【POSAカードを購入してさらにお得に】
22年5月下旬から、楽天キャッシュを受け取れるPOSAカード「楽天ギフトカード」の販売が開始された。POSAカードを買う際の支払い方法は限られているが、ファミリーマートではFamiPayによる購入が可能だ。FamiPayで楽天ギフトカードを買うと、額面200円につき1円相当のFamiPayボーナスが得られる。還元率は0.5%だ。
さらにFamiPayは、JCBブランドのクレカで残高のチャージが可能。FamiPay残高のチャージがポイント還元の対象となるクレカであれば、FamiPayの還元との両取りができる。クレカの還元率が1%なら、楽天ギフトカード購入時のFamiPayの還元と合わせて計1.5%。この楽天ギフトカードで楽天キャッシュをチャージし、楽天ペイでの支払いによる1%還元を合算すると、計2.5%還元も可能になる。
以上、4つの主要スマホ決済について解説した。いずれも使い方次第でお得の度合いが大きく変わるので、“攻略”のしがいがある。ここで紹介したテクニックを活用し、普段の買い物や食事のお得度をもう一段レベルアップしてほしい。
(画像は各サービスのアプリやサイトから)

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