2022年7月4日発売の「日経トレンディ2022年8月号」 ▼Amazonで購入する では、創刊35周年を記念し、「家電、文房具、日用品オールタイムベスト」を特集。日経トレンディは1987年11月に産声を上げ、毎年のヒット商品をランキング形式で紹介してきた。35年分のランキングから、家電を中心としたモノ系でヒットしたのは何か。編集部が「時代を変えた不朽の名作ベスト10」を決定した。
※日経トレンディ2022年8月号より。詳しくは本誌参照
本誌「日経トレンディ」が産声を上げたのは1987年11月。その初年度から、毎年のヒット商品をランキング形式で紹介する「ヒット商品ベスト30」(87年のみ「ヒット商品20傑」)は看板企画だ。本誌では、サービスやコンテンツ、人物、施設、そして各種の流行現象などもヒット商品として扱ってきたが、やはりヒットの中心はモノ。そのトレンドの変遷をチェックするために、35年分のランキングから、家電を中心としたモノ系(家電、文房具、日用品、化粧品、雑貨)で最上位だった商品やブランドをピックアップした(ページ下部の表)。
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振り返ってみると、現代まで生き残っている製品が意外に多い。その特徴の一つは、当時の技術革新が大きく、現代にいたるまで基本コンセプトが通用している製品だ。「自動製パン機」(87年1位)、「アブトロニック」(2002年3位)、「スマートフォン」(10年3位)が主な例だ。
次に目立つのは、強さを保ち続けているブランド。「DIGA」(03年6位)、「アクオス」(04年4位)のようなデジタル家電のブランドのほか、「シャネル」(1988年4位)や「スウォッチ」(92年5位)のようなファッション系ブランドも健在だ。異色なのはアクオス。当初は液晶テレビのブランドだったが、スマホなどにも拡大。2021年にはミニLEDテレビをいち早く出して存在感を見せつけた。さらに特筆すべきはアップルだ。「iMac」(1998年2位)、「iTunes Store」(2005年1位で当時は「iTMS」)、「iPad mini」(13年6位)、「アップルウォッチ」(15年10位)が、いずれも健在。爆発力と持続力を兼ね備えた商品を継続して生み出しているのは見事だ。
ベスト30「モノ系トップ」で振り返るトレンド史
1987年以降のヒット商品ランキングから、家電を中⼼としたモノ系(家電、⽂房具、⽇⽤品、化粧品、雑貨)で最上位だった商品やブランドをピックアップした。
・1987年【1位】自動製パン機
・1988年【4位】シャネル
・1989年【1位】ハンディカム55
・1990年【2位】BSチューナー内蔵テレビ
・1991年【2位】ムーバ(携帯電話)
・1992年【5位】スウォッチ(Swatch)
・1993年【9位】Windows 3.1
・1994年【3位】カーナビゲーション
・1995年【1位】マルチメディアパソコン
・1996年【2位】携帯電話/PHS
・1997年【4位】ロスタロット(小顔クリーム)
・1998年【2位】iMac
・1999年【3位】10万円パソコン
・2000年【2位】プレイステーション2
・2001年【4位】サイバーショットP1
・2002年【3位】アブトロニック
・2003年【6位】DIGA
・2004年【4位】アクオス(AQUOS)
・2005年【1位】iPod nano & iTMS
・2006年【3位】TSUBAKI
・2007年【1位】Wii
・2008年【2位】Eee PC
・2009年【4位】抗インフルエンザグッズ
・2010年【3位】スマートフォン
・2011年【1位】スマートフォン
・2012年【5位】フィットカットカーブ
・2013年【6位】Nexus 7 & iPad mini
・2014年【4位】ジェルボール洗剤
・2015年【10位】アップルウォッチ(Apple Watch)
・2016年【3位】IQOS
・2017年【1位】Nintendo Switch
・2018年【2位】ドライブレコーダー
・2019年【9位】ルックプラス バスタブクレンジング
・2020年【2位】マスク消費
・2021年【15位】ファインバブルシャワーヘッド
この他にも、過去の順位は低くても現在欠かせない商品に成長したロングセラー商品もある。まずはそのベストテンを解説する。
時代を変えた不朽の名作「35周年記念 オールタイムBEST10」
【1位】iPhone
生活を変えたスマホの代表格(初登場 2008年~)
08年発売の「iPhone 3G」以降、日本のスマホ市場をけん引し、人々の生活を変え続けてきた。新機種発売日には行列もできた。今でもアップルの国内シェアは59%(BCN調べによる21年の量販店販売台数シェアから)とメーカー別ではトップ。最新機でもプロセッサー性能が競合機よりも高く、今回のテストでも上位機種ではベストバイになった。
【2位】フリクションボール
書き間違いの悩みから解放(初登場 2007年~)
「摩擦熱で消す」という革新的な機能で、ボールペンの常識を覆したフリクションボール。もともと万年筆メーカーで、インクの開発に力を注いできたパイロットコーポレーションが、温度変化で色が変わるインクをベースに開発した。当初はキャップ式のみだったが、10年にノック式も投入するとさらに人気が拡大。今では蛍光ペン、サインペン、色鉛筆と派生商品を増やし、19年末には世界累計販売本数が30億本を突破した。
【3位】クイックルワイパー
床掃除の苦痛軽減の立役者(初登場 1994年~)
それまで雑巾がけが主だったフローリングの床掃除に革命が起きたのは1994年。同社がおむつなどで扱っていた不織布を活用して製品化した。2000年度には累計2000万本を突破し、世帯普及率が45%に到達。以降も、花王は汚れを吸着する不織布シートのバリエーションを着々と増やし、競合が増えた今でもフロアワイパー市場でトップシェアを維持する。
【4位】ルンバ
最強の家庭向けロボットに(初登場 2002年~)
かわいらしくくるくると動いて障害物を避け、面倒な掃除を手伝う。家庭向けロボットとして、最も成功しているのは「ルンバ」だ。累計出荷台数が20年12月までに400万台を突破。現在は本体内のごみを充電台の紙パックに自動的に排出するなどの進化を遂げている。
【5位】AirPods
音質以外の価値を提案した(初登場 2016年~)
16年の発売当初は「耳からうどんが出ている?」と言われたが、瞬く間に完全ワイヤレスイヤホンの代名詞になった。19年発売のAirPods Proもまだ業界トップクラスのノイズキャンセリング性能を維持。在宅勤務の普及でさらに活躍の機会が増えた。
【6位】ファブリーズ
臭いを気にする文化が定着(初登場 1999年~)
ひんぱんに洗えない布製品をスプレーで消臭できる画期的な商品として1999年に登場した。その後、部屋用、トイレ用の「置き型ファブリーズ」などを次々に投入。2000年代には「ファブする」「ファブる」という若者言葉も生まれた。
【7位】AQUOS
薄型テレビ普及をけん引(初登場 2001年~)
ブラウン管から薄型テレビへの置き換えを推進し、シャープ亀山工場で作られた「世界の亀山モデル」が、00年代に“人気ブランド”になった。21年には国内メーカーでいち早くミニLEDテレビ「AQUOS XLED」を発売。
【8位】ジェットストリーム
滑らか油性ペンとして君臨(初登場 2003年~)
にじみにくいが、さらさらとは書けない。そんな油性ボールペンの常識を低粘度油性インクの開発で覆した。現在は0.28ミリメートル径の超極細タイプも追加。世界販売本数は年間約1億本以上だ。
【9位】ヘルシオ
健康&ほったらかしの代名詞(初登場 2004年~)
それまでホテルなどの業務用でしか使われていなかった過熱水蒸気オーブンを、家庭用に販売し、大きな反響を呼んだ。食品の余分な脂や塩分を減らせるとうたい、健康調理家電の先駆けに。スチームオーブンレンジ市場を一気に広げた。
【10位】スマートスピーカー
「声で操作」が家庭に浸透(初登場 2017年~)
「アレクサ」や「OK、グーグル」と呼びかければ、天気予報確認、音楽再生、家電の操作など様々な用途に使える。その未来感は大きかった。21年10月には所有率も21.6%(MMD研究所調べ)まで上昇している。
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