楽天モバイルがスマホ料金プランの改定を発表。現在はデータ使用量が月1GB以下なら0円だが、2022年9月からは最低でも月1078円(税込み)の支払いが発生する。これまで0円で運用していた利用者は、乗り換えの検討が必要になるだろう。そこで今回は、乗り換え先の候補となる、音声通話可能なコスパ重視の低容量プランについて解説する。
楽天モバイルの料金プラン(楽天回線)は、既存の契約者を含め、22年7月から新プラン「Rakuten UN-LIMIT VII」に移行となる。衝撃的な改定点が、「月1GB以下は0円」の廃止だ。8月までの2カ月間はこの0円条件を継続するとしているが、9月からは少なくとも月1078円(税込み、以下同)の支払いが発生することになる。
6月までの現行プランは、データ使用量が月1GB以下であれば0円、月1GB超~3GB以下なら1078円、3GB超~20GB以下は2178円、20GB超はデータ無制限で3278円という段階制の料金設定。それが新プランでは、月1GB以下の段階設定がなくなり、月3GB以下は一律で1078円という内容に変更される(3GB超の段階・料金設定は現行プランと同じ)。
楽天モバイルの通信品質はまだ発展途上であり、地方や屋内では電波状況が悪くなりがちな弱点がある。専用アプリを使うことで国内通話が無料でかけ放題になるメリットはあるものの、3GBで月1078円という最低料金はやや割高に感じる人も多そうだ。そこで、乗り換え先の候補となる安価な低容量プランを以下にピックアップした。
povo2.0
楽天モバイル現行プランの「1GB以下は0円」に最も近い運用を実現できるのが、KDDIのオンライン専用ブランド「povo2.0」だ。基本料金は0円で、高速データ通信や無料通話などは必要に応じてオプションを追加購入する形式となっている。データ容量のオプションは、1GB(7日間)が390円、3GB(30日間)が990円、20GB(30日間)が2700円などだ。
オプションなしでも最大128kbpsの低速通信は可能なので、メールなどテキストベースのやり取りであればそれほど問題なく利用できる。国内通話やSMS(ショートメッセージ)も、受信であれば料金はかからない。
また、「#ギガ活」というサービスも展開している。これは、対象の店舗やサービスを利用すると、povo2.0で利用可能なデータ容量のボーナスがもらえるというもの。例えば、スマホ決済のau PAYで500円以上の支払いを行うと、有効期限3日間のデータ容量300MBがもらえる。対象店舗はローソン、餃子の王将、すき家、はま寿司、ドトールコーヒーショップ、松屋、ウエルシア、サンドラッグ、カインズなど多岐にわたる。日常的に使う店舗が多ければ、データ通信もある程度まかなえそうだ。
このように0円でもそれなりに使えるpovo2.0だが、オプションの購入が180日間以上なく、かつ同期間中に通話料金(22円/30秒)とSMS送信料の合計が660円を超えない場合は、利用停止、契約解除になることがあるので注意が要る。最安のオプションは「smash. 使い放題パック(24時間)」の220円。これを180日に一度購入してさえいれば、1カ月当たり約37円でスマホ回線の維持が可能ということになる。楽天モバイルの現行プランには及ばないが、破格といえるだろう。
LINEMO
ソフトバンクが展開するオンライン専用ブランド。データ容量が3GBの「ミニプラン」であれば、料金は月990円。楽天モバイル新プランの1078円(3GB以下)より安く利用できる。キャリア品質の高速通信が提供されているので、昼や夕方の時間帯に通信速度が落ちる心配はほぼ無用だ。
LINEのトークや音声通話、ビデオ電話のデータ消費量がゼロになる「LINEギガフリー」が無料付帯する。通常の通話料金は22円/30秒と標準的。5分/回以内の国内通話が無料になるオプションが月550円、国内通話がかけ放題になるオプションが月1650円で利用できるが、LINE通話をメインにすることで通話料金やデータ通信量を節約できるので、オプション不要という人も多いはずだ。
低容量の月額プランを選ぶ際に必ず確認したいのが、余ったデータ容量を翌月に繰り越せるサービスの有無。LINEMOは、このデータ繰り越しには残念ながら対応していない。
UQモバイル
KDDIのサブブランド。「くりこしプラン+5G(S)」は、3GBで月1628円。楽天モバイルに比べて割高だが、実店舗でのサポートが受けられる点がメリット。通信品質が高いため、時間帯による速度低下はほとんど見られない。
また、「自宅セット割」が適用されると638円が割り引きされ、月990円になる。自宅セット割はauでんき、もしくは対象のインターネットサービスに加入していれば適用される。プラン名にあるように、データ繰り越しに対応しているのも利点だ。
ワイモバイル
ソフトバンクのサブブランド。「シンプルS」プランは3GBで月2178円。同じく実店舗によるサポートが受けられるUQモバイルと比べて、やや高めの料金設定だ。一方で強力な家族割引サービスがあり、2回線目から1188円引きが適用される。シンプルSなら月990円になり、割安感がある。
家族が複数人で利用するなら、コストパフォーマンスに優れていてお薦めだ。また、通常月508円の会員優待サービス「Yahoo!プレミアム」が無料で付帯する点もメリット。データ繰り越しにも対応している。
格安SIM事業者の低容量プランも有力候補に
大手キャリアの回線設備を借りて通信事業を展開する格安SIMサービスにも、楽天モバイルからの乗り換え先候補となる低容量プランは多い。
日本通信SIM
「合理的シンプル290」プランは、1GBで月290円からという安さが魅力。通話料金は11円/30秒と大手キャリアの半額。データ容量の追加チャージも1GB当たり220円と安く、計2GBで510円、計3GBでも730円に収まる。データ繰り越しに対応しないことを差し引いても、お得感は大きい。
1つ注意点があり、同プランではデータ容量の上限に達すると低速通信すらできない状態になる。他社では上限に達した後は低速化するのが一般的だが、同プランは通信不可となってしまうのだ。ただし、日本通信SIMのマイページにはアクセスできるので、そこでデータ容量をチャージすれば通信を再開できる。
HISモバイル
「自由自在290プラン」は1GBで月550円だが、データ使用量が100MBに満たなかった場合は月290円になる。また3GBで770円、7GBでも990円と安価だ。データチャージ1GB当たり200円、通話料金9円/30秒は業界最安。データの繰り越しはできないが、それを補って余りあるコスパの良さがある。日本通信SIMと価格帯が似ているが、こちらはデータ容量の上限に達しても通信不可にはならず、低速化する。
NUROモバイル
「VSプラン」は3GBで月792円。データ繰り越しに対応する3GBプランの中では、業界最安となっている。通話料金も11円/30秒と安い。NTTドコモ網、au網、ソフトバンク網のトリプルキャリアの通信に対応しているのも、乗り換えやすいポイントだ。
IIJmio
「IIJmioギガプラン」は2GBで月850円、4GBで月990円、8GBで月1500円など。データ繰り越しが可能で、特に4GBプランはコスパが高い。通話料金も11円/30秒と安い。ドコモ網とau網が選べる。光回線のIIJmioひかりとセット利用なら「mio割」が適用され、月660円引きとさらにお得に使える。
OCNモバイルONE
特筆すべきは月550円のプラン。データ容量は500MBと多くないが、月10分間の無料通話が付帯する。10分を超えても通話料金は11円/30秒と安い。データ通信はあまりしないが、毎月少しは電話するという人に適している。データの繰り越しにも対応。昼や夕方の時間帯でも速度が落ちにくい通信品質の高さもメリットだ。
また、データ容量を消費せずに音楽配信サービスを楽しめる「MUSICカウントフリー」が無料提供されている(要申し込み)。対象サービスは、Amazon Music(Prime Music、Amazon Music Unlimited)、ANiUTa、AWA、dヒッツ、LINE MUSIC、Spotify、ひかりTVミュージックと豊富だ。
以上、楽天モバイルの「0円廃止」を受けて、他社の低容量プランについて解説してきた。乗り換えはもちろん、サブ回線などの新たな契約でも、検討の材料として活用してほしい。
なお、取り上げた料金プランはすべて、ユニバーサルサービス料と電話リレーサービス料の合計で月約3円の支払いが別途発生することには留意したい。
(画像は各サービスのサイトから)