パナソニックが2021年6月、家電と食をセットにしたサブスクリプションサービス「foodable(フーダブル)」を本格スタートした。10万円を超える炊飯器などが月額3980円(税込み)で借りられ、家電に対応した食材が月1回届く。大人気の「オーブントースター ビストロNT-D700」のコースを例に、購入した場合とどちらが得かを検証した。

※日経トレンディ2021年10月号の記事を再構成

 実勢価格が10万円を超える炊飯器、品切れ続出のオーブントースター。こうした高級家電と食材をセットにしたサブスクリプションサービスが、パナソニックが2021年6月に本格スタートした「foodable(フーダブル)」だ。月額3980円(税込み、以下同)で家電が使え、家電に対応した米や冷凍パンなどが一月ごとに届く。送料は無料だ。

 foodableには4つのコースがある。炊飯器と米をセットにした「ごはんソムリエ厳選 銘柄米食べくらべ」、オーブントースターと冷凍パンをセットにした「風味豊かなパンで目覚める お手軽ベイクアップ」、ミキサーとオーガニック食材をセットにした「100%オーガニックスムージー 手軽においしく飲む健康」、ホームベーカリーとパンミックスをセットにした「選べるパンミックス ふっくら焼き立て初体験」。

 企画を立ち上げたパナソニックの家電部門、アプライアンス社キッチン空間事業部の伊藤卓朗氏は、「家電の人気に比例し、炊飯器やオーブントースターのコースが人気」と明かす。

 オーブントースターのコースは、日経トレンディの2021年上半期ヒット大賞 家電部門の大賞に選出された「オーブントースター ビストロNT-D700」と、「Pasco」ブランドで知られる敷島製パン(名古屋市)の冷凍パンのセット。パンはホテルやレストランなどに卸す高級品で、そのままオーブントースターで焼き上げるとベーカリーの焼きたてパンと遜色無い仕上がりになる。

セットになった「オーブントースター ビストロNT-D700」
セットになった「オーブントースター ビストロNT-D700」
小箱に入れられて冷凍パンが届く
小箱に入れられて冷凍パンが届く
オーブントースターを使用し、10分ほどでプチブールの焼き上がり
オーブントースターを使用し、10分ほどでプチブールの焼き上がり

 foodableの申し込みはパナソニックが運営する情報サイト「EATPICK」で行う。運転免許証などの本人確認書類と住所やクレジットカードなどの情報を登録し、10分ほどで完了。追って家電が届く。パンは「プチセット」「オーガニック小麦粉と野菜のパヴェセット」といった4種類のセットから選択し、EATPICKで購入手続きをする。契約時に登録したメールに毎月届くクーポンコードを入力すると、パン1セットが無料になる仕組みだ。

■EATPICKの申し込み画面
■EATPICKの申し込み画面
■プチセット
■プチセット
基本となるセット。「ラインアップは今後追加予定」(敷島製パン)
■オーガニック小麦粉と野菜のパヴェセット
■オーガニック小麦粉と野菜のパヴェセット
EATPICKでは、パン16個入りで3024円
■冷凍生地のアレンジパンキット【4種】
■冷凍生地のアレンジパンキット【4種】
生地を丁寧に巻き、卵の黄身を塗って焼くだけで、簡単にクロワッサンができた。子どもの食育にもよさそうだ
生地を丁寧に巻き、卵の黄身を塗って焼くだけで、簡単にクロワッサンができた。子どもの食育にもよさそうだ

 パンは個別包装され、パッケージの裏面に焼き方の説明がある。およそその通りに進めれば、誰でも同じクオリティーのパンが作れる。

パッケージの裏面の作り方を目安に10分ほどで完成
パッケージの裏面の作り方を目安に10分ほどで完成

 パンのセットで、最も高額なのが3024円の「オーガニック小麦粉と野菜のパヴェセット」。foodableが月額3980円であるため、パン代を差し引くと実質月1000円弱でNT-D700を利用できる計算だ。

foodableは購入より得? 損益分岐点を試算

 最低利用期間は1年。1年以内の解約には、解約手数料7960円とオーブントースターの返却が必要。その際の送料は契約者負担になる。13カ月目からは契約が1カ月ごとに自動更新され、継続か解約、買い取りかを選択する。買い取る場合は買い取り手数料2200円を支払う。

 このような条件の下、最初からオーブントースターを購入する場合と比べてfoodableは得なのか。「一定期間サブスクを契約した後に買い取るパターン」と「本体を購入し、市販のパンを使用するパターン」で比較検討した。

 まず、解約手数料がかからなくなる1年後に買い取る場合を考える。サブスクの総コストは、4万7760円(3980円×12カ月)に買い取り手数料2200円を合わせた計4万9960円。一方、オーブントースターを購入する場合は、本体2万8182円(通販サイト「パナソニックストア プラス」の価格)にパンの購入費用を加える必要がある。

 前述の「オーガニック小麦粉と野菜のパヴェセット」は、パン16個入りで3024円。単価が189円なので、市販のパンを1個190円で購入するものとして計算する。一月に16個購入(3040円)を12カ月続けたと仮定すると3万6480円。本体と合わせて計6万4662円となり、サブスクの方が得になった。

 下のグラフ1を見ると、サブスクをある期間利用した後に買い取る場合と、本体を購入したうえでパンを買う場合との総コストが逆転するのは28カ月目。サブスクが11万3640円、購入が11万3302円となった。その後も使い続けるコスト的なメリットを考えるなら、サブスクでは遅くとも27カ月目までに買い取るべきだ。

【グラフ1】「サブスク」で12カ月目以降に買い取る場合と「購入」との総コストを比較
【グラフ1】「サブスク」で12カ月目以降に買い取る場合と「購入」との総コストを比較
オーブントースターを「サブスク(12カ月目以降に買い取る場合)」と「購入」した場合とで、利用月数ごとの総コストを比較。初期コストの差が徐々に縮まり、28カ月目で「サブスク」が「購入」を逆転する

 13カ月目以降の総コストが最も安いのは、サブスクで12カ月目に買い取り手数料を含めて支払い、13カ月目からは市販のパンの利用に切り替える場合だ。サブスクで初期コストを抑え、解約手数料がかからなくなったタイミングで買い取ることで、以降は月々のコストを下げられる。

【グラフ2】グラフ1に「12カ月目に買い取り、13カ月目から市販のパンを購入するケース」を追加
【グラフ2】グラフ1に「12カ月目に買い取り、13カ月目から市販のパンを購入するケース」を追加

 一方、1年も使えばオーブントースターが本当に必要かどうか分かり、解約という選択肢も出てくる。1年後に解約する場合の総コストは、4万7760円(3980円×12カ月)に返送料を含めた額。購入の場合は、前述の通り6万4662円となるが、本体が不要であればネットオークションサイトやフリマサイトで売却する手もある。

 メルカリでは、未使用に近い状態で2万500円での取引実績を確認。1年後の価値が1万5千円に下がるとして、手数料と送料を除くと手元に返ってくるのは1万2000円ほど。購入後1年で売却する場合の実質コストは約5万2000円となる。これと比べても、やはりサブスクが有利という結果になった。

 総コストを重視して計算すると、初期コストを抑えたサブスクでスタートし、解約手数料がかからなくなった時点で買い取るのが最も効率的だ。ただし、サブスクの契約中は一般には流通しない敷島製パンの商品が届くメリットもある。総コストを重視するか、多少お金がかかってもパンが届くことを優先するかで、サブスクの必要度合いが変わるだろう。

■基本スペック&総コスト比較
■基本スペック&総コスト比較
注)本体を購入する場合は、パンを毎月3040円分(190円×16個)買うとして総コストを計算
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