クラフトビールの世界で、ブルワリーの近くで栽培した国産ホップを使用するビールが人気を集め始めている。ホップの一大生産地である岩手県の遠野市では、ガイド付きのツアーを開催する「遠野ビアツーリズム」を実施。ビールを中心とする町おこしが広がり、ホップシロップやビールのつまみになる野菜の生産も拡大する。
※日経トレンディ2021年3月号の記事を再構成
クラフトビールの世界で、香りや味わいの決め手である原料のホップに変化が起きている。ブルワリーの近くで栽培した、国産ホップを使うクラフトビールが人気を集め始めているのだ。例えば、横浜ビールは2020年9月に地元産ホップを使った「ヨコハマIPA」を発売。日本産ホップ推進委員会が企画・後援し、各地で勉強会やイベントを開催する「FRESH HOP FEST」に参加するブルワリーの数は、初回15年の12から、19年には90になった。
背景には、国内でのホップ農家の多様化もある。長らく、大手ビールメーカーが契約する農家でしかホップ栽培が行われてこなかったが、1990年代半ばから、それ以外にもホップを栽培する“独立系”の農家が登場。現在はホップを栽培する畑が全国に広がり、国産ホップの品質も年々向上しているという。
さらに、日本ビアジャーナリスト協会に所属するHOP SAIJO氏は、「栽培してすぐのホップを使った『フレッシュホップビール』は、他には無いホップの青々しい香りが魅力で、ファンを増やしている」と続ける。
そんな中、ホップの生産地では地元の特産品を生かしたユニークな取り組みが始まっている。一大生産地である岩手県の遠野市では、キリンと農林中央金庫が出資した農業法人BEER EXPERIENCEが、18年から「遠野ビアツーリズム」を実施している。主に昼と夜で、どちらもガイドが同行する2つのツアーを開催。昼は「ビールの里・遠野 満喫ビアツーリズム」と称して、ホップ畑や地元のビール醸造所を巡る。内容は季節によって異なる。夜はガイドが選んだビアバーやレストランを巡る内容だ。
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