
全国で保育・教育施設などを運営するポピンズ(東京・渋谷)は、保育士などスタッフ向けの独自マスクを作り、「制服」として採用した。既存の制服と同じ生地で作り、白いマスクに比べて統一感を出すことで、子供たちに安心感を与えることが狙いだ。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、今では生活のあらゆる場面でマスク着用を目にするようになった。一時期は供給量が不足していたが多くの企業が増産に動き、最近では一般的な不織布を使った白いマスクの他、さまざまな企業が自社で扱う特徴的な素材を生かし、オリジナルマスクを作るようになった。
そんな中、ポピンズはマスクを「制服」の一環と位置付け、ポピンズらしいマスクを考案。保育士などスタッフの制服に使っているバラ柄のシャツや若草色のエプロンと同じ生地をマスクにも適用した。一般的な白いマスクのままでは子供たちに圧迫感を与えると判断し、既存の制服と統一感を出そうと考えた。オリジナルのマスクを作るケースは多いが、制服として正式に採用した企業はあまりないだろう。
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ポピンズがオリジナルのマスクを作ろうと考えたのは、マスクが不足し始めた2020年2月ごろだった。全国322カ所で保育園や教育・介護施設などを運営し、約5000人のスタッフがいるため、大量のマスクが必要になったからだ。さらに4月には緊急事態宣言が出され、ポピンズの施設も休園。このとき各施設の代表322人がオンラインで会議を行い、スタッフからの「マスクのコンペをしよう」という提案をきっかけに、自分たちが使用したいマスクのデザインを考えることになった。一般的な白いマスクには、病人やアレルギーを持つ人が着用するものといったイメージがあるためか、違和感を覚えて不安になる子供もいた。
デザインの方針は、子供たちに不安を与えない温かみのある色合いにすることだった。また、男性スタッフが着用しても違和感がないようにしたかった。施設内にあるぬいぐるみや人形にもマスクを着用させ、子供たちに思いやりの心も醸成させようとした。そこで出てきたアイデアが「既存の制服の生地を使ってマスクを作る」というものだった。
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