
全10回
「新しい生活様式」を支えるデザイン
国内での新型コロナウイルス感染症の拡大は収まったように見える。だが今後の「第2波」「第3波」に備えるには、ソーシャルディスタンスの確保やマスクの着用、3密回避など「新しい生活様式」が求められている。これをデザインの力で乗り越えようと、さまざまな商品やサービスが出てきた。注目されるのは、新しい生活様式を苦痛とするのではなく、少しでも楽しく過ごそうとする動きだ。新しい生活様式はコロナ収束までの一過性の動きではなく、今後も続く価値観の大転換になるかもしれない。
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第1回2020.07.27伊勢丹新宿に学ぶ、デザインで店舗のコロナ対策を楽しくする方法なかなか収束を見せない新型コロナウイルス感染症。3密回避など「新しい生活様式」が求められているが、これらを苦痛とするのではなくデザインの力で少しでも楽しく過ごそうとする動きが各社から出てきた。流通や観光などさまざまな業界を取材した。
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第2回2020.07.27青山眼鏡が飛沫感染対策にゴーグル型眼鏡、新市場創造を狙う「FACTORY900」ブランドを展開する青山眼鏡(福井市)は、飛沫感染対策を狙ったゴーグル型眼鏡を発売した。度入りのレンズが使え、目の周囲を保護できるように独自の加工をフレームに施した。医療従事者向けだが、小売店など新型コロナ対策を必要とする他の業種でも注目を集めそうだ。
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第3回2020.07.29KINCHOゴキブリムエンダー広告、コロナ不安を逆手に新表現「もうどう広告していいのかわからないので。」。新型コロナウイルス感染症が拡大する2020年5月、こんなキャッチコピーと共に掲載された大日本除虫菊(KINCHO、大阪市)の「ゴキブリムエンダー」の新聞広告が話題になった。不安感の中で「コロナを逆手に取ってKINCHOらしい」とSNS上で評価された。
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第4回2020.07.29社会的距離はペンギン何羽分か? 3密回避を遊びに変えた水族館すみだ水族館(東京・墨田)は、来館者が楽しい気持ちでソーシャルディスタンス(社会的距離)を理解できるよう、ペンギンやチンアナゴなど人気の生き物の大きさを使うことで距離を表現するようにした。安心・安全を確保しつつ、子供は遊びながら学べる。コロナ禍の制約を付加価値につなげた。
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第5回2020.07.31独自マスクを「制服」にした保育園、子供も親も喜ぶデザインとは全国で保育・教育施設などを運営するポピンズ(東京・渋谷)は、保育士などスタッフ向けの独自マスクを作り、「制服」として採用した。既存の制服と同じ生地で作り、白いマスクに比べて統一感を出すことで、子供たちに安心感を与えることが狙いだ。
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第6回2020.09.01星野リゾートの夜通し居酒屋に学ぶ 3密回避のサービスデザイン2020年4月の「緊急事態宣言」によって人の移動が制限され、国内の観光業は大打撃を受けた。そんな不利な状況でも5月以降、3密回避(密閉、密集、密接)を逆手に取って「朝食ピクニック」「夜通し居酒屋」など新しいサービスのアイデアを次々と考え、付加価値を高めた好例が星野リゾートだ。顧客の要望をいかにサービスとして実現するか。いわゆるサービスデザインのケースとして注目される。
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第7回2020.09.01画面と一緒に菓子も味わう パナが狙うネットとリアルの同時体験3密回避のため多くのイベントが中止や延期を余儀なくされている。開催する場合でも、オンラインで主催者と参加者を結ぶといった例が多い。いつでもどこでも結び付くというオンラインの良さはあるが、画面を見ながら相手の話を聞くだけではイベントの臨場感は伝わりにくいだろう。そこでパナソニックは、画面の向こうと視聴者が同時体験できるイベントを考案。コロナ禍における新しい体験をデザインした。
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第8回2020.09.01半分だけビジネス用、在宅ワーカー向けの新しい「仕事着」テレワークが中心になり、多くの人が体感した変化の1つは服装かもしれない。オンライン会議に対応するために上半身は着替えるが、下半身は寝間着のままという人もいるようだ。「WFH Jammies」は、そんなオンライン会議用に開発された在宅ワーカーのための新しい「仕事着」。
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第9回2020.09.03レクサスの情報発信拠点で色鮮やかなコロナ対策、テーマは応援新型コロナウイルス感染症が拡大する中、さまざまなデザインプロジェクトを推進するのがSPREAD(東京・渋谷)の小林弘和氏と山田春奈氏だ。2020年2月からはコロナ禍に対応する企業や個人の動きを自主的にリサーチ。7月下旬には東京・青山のトヨタ自動車「レクサス」の情報発信拠点「INTERSECT BY LEXUS-TOKYO」のコロナ対策も手掛けた。
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第10回2020.09.03新型コロナ対策まとめサイトPANDAID 日本発で世界が利用デザインファームのNOSIGNER(横浜市)は、新型コロナウイルス感染症への対策をまとめた「PANDAID(パンドエイド)」と呼ぶサイトを立ち上げている。非営利で自主運営ながら、感染症の知識からテレワークの方法などさまざまな情報を掲載し、外国語のコンテンツも多い。代表の太刀川英輔氏に狙いなどを聞いた。