稼ぐオンラインイベントの作り方

企業のイベントの中には、スポンサー企業から協賛金を得る代わり、許可を得た来場者の個人情報を「リード」として渡すことで成立する「協賛型」といわれるタイプがある。この協賛型イベントは果たしてオンラインにスムーズに移行できるのか──。名刺管理サービスを展開するSansanと、JTBの子会社で年20件以上のイベントを手掛けるJTBコミュニケーションデザイン(東京・港)が取り組んだケースから、今後の可能性を探った。

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Sansanがオンラインに移行して開催した「Sansan Evolution Week 2020」のWebサイト
Sansanがオンラインに移行して開催した「Sansan Evolution Week 2020」のWebサイト

 「オンラインでの開催が決まったとき、『Sansanが今後のイベントの流れをリードした』といわれるような、今までになかった取り組みをしようと考えた」

 こう振り返るのは、2020年6月22日から始まったオンラインカンファレンス「Sansan Evolution Week 2020」を仕切った、Sansan事業部マーケティング部SIPグループ兼エンタープライズ企画グループマネジャーの松尾佳亮氏だ。

 Sansanは、新型コロナウイルス感染症が広がった影響で、20年3月に予定していたリアルの協賛型イベント「Sansan Innovation Project」の中止を決めていた。「もともとイベント単体で黒字を出すのが絶対というわけではなく、結果として法人向け名刺管理サービス『Sansan』が売れればよいという考えでイベントを展開している」(松尾氏)とはいえ、大型イベントの開催を中止したままでは、主にスポンサー企業からの協賛金からなる事業収入が、その年の売り上げから丸ごと消えてしまう。

 そこでオンラインでの開催を決断。冒頭に示したように、これまでにない取り組みを目指した。出てきた答えが、IT企業主催イベントとしては例のない、5日間連続オンライン開催である。「最初は2週間連続開催を考えたけれど、やり切れる自信がなくて……。5日間連続に落ち着きました」と松尾氏は当時の思いを打ち明ける。

IT企業主催では初めての5日間連続開催に挑戦

 開催するに当たっての課題は2つあった。1つは協賛金を出してくれるスポンサー企業を集められるかどうか。もう1つは、5日間連続のカンファレンスをミスなく運営できるか、である。

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