稼ぐオンラインイベントの作り方

会場に来場者はいるが商品説明の担当者は一人もいない。そんな珍しいスキームのビジネス展示会が開催され、400人以上が来場した。アフターコロナ時代には半オンライン・半リアルのハイブリッド化が、稼ぐイベントの理想形となる。その時に求められる運用の「手軽さ」という条件も満たしている。

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2020年6月1~5日に開催された文具・雑貨の展示会「PHASE」(フェーズ)。緊急事態宣言解除から1週間後というタイミングだったが、文具・雑貨のバイヤーなど400人以上が来場した
2020年6月1~5日に開催された文具・雑貨の展示会「PHASE」(フェーズ)。緊急事態宣言解除から1週間後というタイミングだったが、文具・雑貨のバイヤーなど400人以上が来場した

 withコロナ時代におけるイベントのオンライン化は、もはや止めることはできない。その一方でアフターコロナ時代を見据えれば、リアルとオンラインを融合したハイブリッド化が必須となる。単に従来のリアルイベントと、オンラインイベントを併催するだけでは「稼ぐ」イベントになり得ないだろう。両者の強みを生かす方策はあるのか。その可能性を探る「半オンライン・半リアル」のイベントが注目を集めている。

【特集】稼ぐオンラインイベントの作り方

 イベント会場に展示品を見に来た来場者はいるが、商品説明をする出展企業のスタッフは一人もいない――。そんな一風変わった文具・雑貨のビジネス展示会が2020年6月1~5日に開催された。

 イベントの名称は「PHASE」(フェーズ)。これが第1回の開催だ。主催したのはSUPER PENGUIN(スーパーペンギン、東京・品川)という独立系のイベント・ブース・デザイン会社で、展示会を主催するのはこれが初めて。さらに会場は、20年6月11日にグランドオープンした「SMALL WORLDS TOKYO」(東京・江東)という商業施設で、まさに初物尽くしのイベントだった(展示会は施設のグランドオープン前に実施)。

ブースに商品とZoom用のタブレット

 展示会初日は、緊急事態宣言が解除された5月25日からわずか1週間後という際どいタイミングでの開催となった。そのため、消毒液の用意やマスクの着用、体温測定など、新型コロナウイルスの感染拡大防止策を徹底した上で、これまでのビジネス展示会には見られなかった新たな工夫を数多く盛り込んだことで、業界関係者の注目が集まっている。

 このイベントの特徴の1つは、ユニークな展示ブースを新たに開発したことだ。ブースといっても実際には横幅1メートル、奥行き70センチメートルという極めて小さな3段棚だ。この展示会のためにわずか3週間でスーパーペンギンがイチからデザインしたものである。これほど小さくしたのは、「1度に1人ずつしか(商品棚を)見られないようにするためだ」(スーパーペンギンの竹村尚久社長)。

 この3段棚を2メートルの“ソーシャルディスタンス”を保って、出展社ごとに1台ずつ、合計12台配置した。来場した人は、一般的な展示会のように説明スタッフに煩わされることなく、好きなだけ時間をかけて商品を見たり手に取ったりして、品質や質感などを確かめることができた。

PHASE開催に合わせてスーパーペンギンがデザインした展示ブース。3段の棚に展示品を収納し、来場者が自由に見たり触ったり、棚を引き出したりして、商品をじっくり確認できるようにした
PHASE開催に合わせてスーパーペンギンがデザインした展示ブース。3段の棚に展示品を収納し、来場者が自由に見たり触ったり、棚を引き出したりして、商品をじっくり確認できるようにした

 一方で、展示された商品が気に入って、出展社と卸価格や納期などについて具体的な話がしたいという人には、3段棚に置いたタブレット端末から、オンライン会議ツールの「Zoom」(ズーム)を介して出展社のスタッフから説明が受けられる仕組みを用意した。

詳しい商品説明を聞いて商談をしたいという場合には、展示ブースに備えたタブレット端末を使って出展社のスタッフと直接話せるようにした
詳しい商品説明を聞いて商談をしたいという場合には、展示ブースに備えたタブレット端末を使って出展社のスタッフと直接話せるようにした

 初めてのイベント主催だったため、開幕直前まで準備に追われ、「開催告知が十分にできなかった」と竹村社長は反省することしきり。それでも雑貨のバイヤーなどを中心として初日28人、2日目50人、3日目108人という具合に尻上がりで来場者が増加。5日間で444人が来場した。