稼ぐオンラインイベントの作り方

新型コロナウイルスの感染拡大で中止を余儀なくされた物販を伴うイベントを、EC上に移して成功したという取り組みは少なくない。その中でも、関東平野の北に位置する栃木県芳賀郡益子町で例年開催されている「益子陶器市」は、準備期間3週間で「益子Web陶器市(正式名『益子 春の陶器市 WEB版』)」としてEC上での開催にこぎ着け、益子陶器のファンを集めて想定の4倍に当たる4700万円以上の売り上げを達成した。

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「益子 春の陶器市 WEB版」の公式サイト
「益子 春の陶器市 WEB版」の公式サイト

 「2020年4月初めに、1966年以来続いていた陶器市の中止が決まったとき、毎年開催しているこの市の売り上げを収入の柱としている作陶家の皆さんも困るし、毎年楽しみにいらしている約40万人のお客様の期待にも応えられないと感じた。そこで思い切って、ECサイトの形でWeb版の陶器市を開けないかと考えた」

 「益子Web陶器市」を裏で支えた益子町 産業建設部観光商工課 タウンプロモーション係 地域おこし協力隊の水野大人氏は、こう振り返る。

 とはいえ、リアルの陶器市が予定していた開催期間(20年4月29日~5月6日)に合わせてWeb陶器市を催そうとすると、準備期間は3週間ほどしかない。この短い期間で開催にこぎ着けられたのは、「官民のスムーズな協力が実現できたから」(水野氏)だ。

 東京でIT関連の仕事を手掛け、総務省主導の「地域おこし協力隊」に応募して、主に観光振興のために益子町にやって来ていた水野氏をWeb陶器市の責任者に立て、従来の陶器市の運営に関わっていた町役場や観光協会、商工会が協力する態勢を組んだ。おかげで多くの作陶家や販売店、町民などの協力を得ながら、作品情報の収集や実際の作品の撮影などを、短期間で進められたという。

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