稼ぐオンラインイベントの作り方

新型コロナウイルス感染拡大でイベントのオンライン化が加速している。成功の指標となる参加企業、入場者数、売り上げを高めるうえで鍵となるのは「ネット内での拡散力」だ。withコロナ時代にふさわしい「稼ぐ」イベントの姿を、オンライン化した大規模イベントの取り組みを中心に読み解く。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、リアルの場で開催されていたイベントのオンライン化が加速している。画像はイメージ(写真提供/shutterstock)
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、リアルの場で開催されていたイベントのオンライン化が加速している。画像はイメージ(写真提供/shutterstock)

 日本イベント産業振興協会(JACE)によると、2019年の国内イベント市場規模は17兆4890億円。20年4月から約2カ月続いた緊急事態宣言に伴い、多くのイベントが中止や延期を余儀なくされた。東京五輪・パラリンピックはもちろん、消費者向け・ビジネス向けを問わずリアルの場でのイベント開催が困難な状態が続いている。

 政府方針に変更がなければ、20年8月以降は会場の収容人数50%までのイベントが開催できる見通しだ。仮にイベント市場が半分に戻ったとしても、日本全体で8~9兆円のイベント市場が消えることになる。

 失われた市場を取り戻すべく、多くの事業者が「オンライン」にイベント開催の場を移し、手探りながらオンラインの特性を生かしたイベントの姿を作り出そうとしている。「距離を超え、日本全国のみならず海外からの集客も期待できる」と話すのは、CEATEC(シーテック)実施協議会の鹿野清エグゼクティブ・プロデューサーだ。

 CEATECは国内最大の家電やITの見本市。20年にわたり大型展示場の幕張メッセ(千葉市)で開催してきた。20年10月20~23日は初めてのオンライン化に踏み切る。19年に来場者約14.5万人、787の出展企業・団体を集めた巨大展示会のオンライン化が成功するかは、オンラインイベント市場がリアルイベントに並ぶか、あるいは超える存在になり得るかを展望するための重要な尺度となりそうだ。

イベントのオンライン化について説明するCEATEC実施協議会の鹿野清エグゼクティブ・プロデューサー
イベントのオンライン化について説明するCEATEC実施協議会の鹿野清エグゼクティブ・プロデューサー

 オンライン化したCEATECの出展料は19年の水準よりも若干安く設定した。19年の出展料は1コマで36万3千円(税込み、JEITAなどの会員の場合)からだったが、20年は33万円(税込み)から。「少しでも多く参加してもらえるように、昨年よりもお手ごろな値段を提案した」(鹿野氏)。

2019年10月のCEATEC会場内。新型コロナウイルス感染症が収束しない限り、このようにマスクなしで多くの人々がイベント会場を歩く様子を見ることはないだろう
2019年10月のCEATEC会場内。新型コロナウイルス感染症が収束しない限り、このようにマスクなしで多くの人々がイベント会場を歩く様子を見ることはないだろう

 「今年だけの取り組みではなく、その先に描いているのはリアルとオンラインのハイブリッド開催。ニューノーマル時代におけるCEATECの姿を探る試金石になる」(鹿野氏)と位置付ける。

拡散力やイメージ向上が鍵

 イベントには、展示ブースを設置する企業を集める「出展型」のほかにも、企業スポンサーを募る「協賛型」、音楽アーティストやスポーツなどの興業で多く見られる「課金型」、即売会など製品を販売する「物販型」がある。あらゆるジャンルで、イベントのオンライン化が一斉に進んでいる。出展型や協賛型であれば参加企業の数、課金型や物販であれば参加人数や売り上げが、まずはイベントの成否を測る指標となるだろう。

あらゆるジャンルのイベントがオンライン化
あらゆるジャンルのイベントがオンライン化
出展型・協賛型・課金型・物販型、あるいはそれぞれの特性を併せ持ったものなど多彩なイベントが存在する。それら全てのジャンルでオンライン化が加速している

 オンライン化したことの意義やメリットをいかに生み出すか。例えばCEATECでは「ニューノーマル」というキーワードを示すことで、参加すること自体がwithコロナ時代に対応できる先端企業としてアピールできる、というイメージを作り出している。その結果、説明会の参加人数は従来の3倍の規模になったという(関連記事:「1億円以上の大規模ブースも大幅コスト減」CEATECがネット開催)。

 個人向けのイベントでは、SNSでの口コミが期待できる若者など大量のユーザー層の取り込みが、参加する企業へのメリットにつながっていく。拡散力を生かしたうえで、いかに企業のイメージ向上につながる筋道を作るかが「稼ぐ」イベント作りの1つの鍵となりそうだ。

初の2回目開催「超会議」

 CEATECと同じく幕張メッセで、12年から開催されてきた恒例イベントがKADOKAWA傘下のドワンゴが運営する「ニコニコ超会議」だ。協賛型のイベントで、NTTのほか、飲料メーカー、航空会社など多数の協賛を集めてきた。この超会議も、20年4月中旬に予定していたリアルのイベントを、オンライン開催に切り替えた。4月12~19日の8日間で集めたネット来場者は1638万人。19年の来場者16万8000人、ネット来場者666万人と比べて数を増やした。ニコニコの有効会員数は約7900万人で30代までが7割。このユーザー層が「拡散力」になる。

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