アフターコロナの消費者はこう変わる

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、中止や延期を強いられたライブやイベント。YouTubeなど無料で見られる動画が増える中、有料ライブ配信は受け入れられるのだろうか。アフターコロナで鍵を握るのは、テクノロジーによって進化するオンラインライブだ。リアルは有料、それ以外は無料という単純な二元論ではない、新たなスタイルが興行側、観客側双方に求められることになる。

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コロナ禍でイベントやライブが中止になる中、有料ライブ配信ができるプラットフォームが登場している(写真/Shutterstock)
コロナ禍でイベントやライブが中止になる中、有料ライブ配信ができるプラットフォームが登場している(写真/Shutterstock)

 「応援熱」。エンターテインメント業界におけるここ数年のキーワードは、まさしくこれだった。単なる「好き」だけではない「憧れ」「感謝」「生きがい」……といったあらゆる要素がアーティストやアイドル、スポーツ選手らに向かい、ツアーやライブ、DVD・CDなどへの消費行動として現れていた。

 象徴的だったのは、2018年の安室奈美恵さんの引退ライブだ。一般人のみならず、芸能人にもファンが多かった安室さんの電撃引退発表は日本中に衝撃を与え、ラストツアーは国内ソロアーティスト史上最多となる約80万人を動員し(アジアツアーを含む)、ベストアルバムの売り上げはダブルミリオンを達成。引退当日には数千人のファンの名が刻まれた新聞広告が載り、チケットを持っていないにもかかわらず大勢のファンがラストライブ会場の沖縄に飛んだ。経済効果は500億円は下らないといわれている。まさに「トキ消費」(第2回参照)のシンボルだったとも言えるだろう。

 この応援熱の行き場を隘路(あいろ)に追い込んだのが、新型コロナウイルスの感染拡大だ。本来は、応援消費は20年がクライマックスになるはずだった。東京オリンピック・パラリンピックと、嵐の活動休止。ここに向けた応援消費がかつてないほど高まるとみられていたからだ。

 新型コロナはこれら2つの国民的イベントのみならず、あらゆるライブを中止に至らしめた。アフターコロナで応援熱を持て余している消費者はどう変わりゆくのか。表現する側はそれにどう対応していくのか。いくつかの事例などからひも解いていこう。

40カ国以上のファンが"集結"

 リアルで表現できないのならどうするか。正攻法の答えとしてあるのはオフラインの逆、オンラインだ。リアルの対極として「オンラインは無料」という先行イメージをどう取り払えるか。

 いち早くライブ配信の有料化へと舵(かじ)を切ったのが電子チケットを販売するZAIKO(ザイコ、東京・港)だった。もともとリアルイベントの電子チケットを販売するプラットフォーム。コロナ禍でライブやイベントが次々中止になる中、20年3月に「ライブ配信電子チケット」機能を搭載し、オンライン上でのイベント参加チケットを販売できるようにした。

 その機能を用いて緊急事態宣言前の20年3月13日、3人組バンド・cero(セロ)が、ライブ「Contemporary http Cruise」を有料で開催した。ZAIKOでチケットを購入すると、ZAIKOのアカウント上で配信のURLが閲覧できる。有料チケットを購入した人のみが、ライブ配信を見られる仕組み。チケット代は1000円、イベント時間は約60分。準備期間も短かったというが、結果的に5000人以上が世界中からチケットを購入した。

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